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Locanda al Gambero Rosso@Bagno di Romagna

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イタリア料理のストックフォト10,000点超

秋晴れの秋分の日、ガンベロ・ロッソ・ガイドでトレ・ガンベリの一軒、トスカーナからほんの少しエミリア・ロマーニャに入ったところの「Locanda al Gambero Rosso」へ出かける。フィレンツェから東へ、チェゼナ方面へ山道をひたすら2時間半、ようやくのことで目指すバーニョ・ディ・ロマーニャの隣村サン・ピエロ・イン・バーニョに到着。温泉町にくっついた小さな村である。

予約の13時に30分遅れたが、「いえいえ、早いほうですよ」と娘さんでソムリエのミケーラ嬢。週末の昼だというのに満席ではないのは、今日からリミニ郊外サン・パトリニャーノで始まった食の祭典SQUISITOに人が流れているからだろう。白いクロスのかかったテーブルには銀の燭台、その足下にはバラの花びらが散っている。なんとなく奥様趣味サロンな雰囲気の設えは、イタリアにおける女性主導のお店の典型。

メニューは文字説明が多いので読み込むのに時間がかかる。ざっと斜め読みした頃にミケーラ嬢が「マンマのおすすめにしますか?」というので、そのほうが早いかと従うことに。すると、早速、安達●美のような幼いような大人のような顔立ちのカメリエーラが突き出しのパンツァネッラを目の前に差し出した。予想に反してトマトの赤の見えない白いパンツァネッラ。でも、トマトの強い酸味がないぶん、パンの風味がじんわりと口中に広がる。(あんまり素早く出てきたので、うっかり写真は撮り忘れ。)

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駆けつけ一杯ではなく、駆けつけ一口。でもやっぱりワインがないとね、というわけでソムリエ・ミケーレ嬢にここでようやくワインを頼む。サン・ジョヴェーゼ・ディ・ロマーニャのステンレス熟成か、樽熟成かというので、後者に。重すぎず軽すぎす、微かにスパイシーで食事ワインとしては申し分ない。

突き出しの2品目、カセルオラは野菜の煮込み。これがすむと、とりあえず、プリモ4品が少しずつ。トマトがほとんど入っていない分、ブロードの滋味たっぷりのパッパ・アル・ポモドーロ、残り物タリアテッレをチーズと一緒にオーブン焼きしたバゾット、トマトと野生フェンネルであえたパッサテッロ・アシュット。そして、写真はないけれど、ポルチーニ茸を添えた、歯ごたえしっかりたっぷり厚いカネロネ。ここまで、我々のお皿が空くとすぐさま安達嬢が下げて次の料理を持ってくるという、間髪入れずのわんこサービス。間が空くと満腹中枢に信号が灯ってしまうので、リズムよく食べさせてくれるこのサービスはお食べ地獄を天国に変えてくれるというメリットがある。
Casseruola

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Passatelli

Lastraここで一休み、じゃがいもを詰めたトルテッロを焼いたトルテッロ・スッラ・ラストラを。にんにくの香りがぷ〜んと漂う。おやつというか、小腹が空いたときにつまむとちょうどいい感じの素朴な食べもの。

Tortell「良かったらトルテッリのフォルマッジョ・ディ・フォッサを試してみますか?」というミケーレ嬢の言葉に断るべくもない、というわけでそれも。先のトルテッロとの違いは、パスタ生地に卵が入っているところ。

こうして食べている合間合間に、モレーノ父さん(かなり穏やかに仕立てた●山やすし)がいろいろいろいろ解説してくれる。やすし父さんは野山で野草や果物を採ってくるのが趣味という。以前に厨房にいた日本人コックさんをよく連れて山に入ったものだ、と遠い目をする。料理人であるジュリアーナ母さんも時折り客席にやってきて、みんなが美味しく食べているかを細かくチェックする。この家庭的な雰囲気がさらに料理を美味しくしてしまうんだろうなぁ、と思う。

Moraromagno
さて、セコンドはどうする?ミケーレ嬢のおすすめは、アニエッロ・イン・ウミド(仔羊の煮込み)、トリッパ・イン・ビアンコ、コニッリオ・アラ・カッチャトーラなど。トリッパにものすごく惹かれたけれど、最初っからこの地方の豚、モーラ・ロマニョーラにしようと思っていたので、サルシッチャ、パンチェッタ、コッパのグリル盛り合わせにする。スパイスのほどよく効いた、塩も適度なサルシッチャ、これまた塩がまんべんなくしかしマイルドに回ったバラ肉、こりこりとした歯ごたえ、噛み締めるとじゅぅっと旨味がしみ出す肩肉、そこにローズマリー風味のポテトケーキが脇を固める。豚って美味しいとしみじみ思わせる一皿であった。

Dolci
ドルチェはもうだめかも、と思いつつ、諦めきれないので盛り合わせてもらう。ズッパ・イングレーゼ、ラッタイオーロ(アルケルメスのプリン)、カフェ・イン・フォルケッタ(コーヒープリン。食ジャーナリスト、ダヴィデ・パオリーニ郷愁の好物とか。)、そして、自家製桃のジャムをのせたヨーグルト。これが絶品。このジャム、ぜひ売ってほしいと思うほど美味しい。ヨーグルトもへんなクセのないピュアな味で桃ジャムとの相性絶好。最後に良いものを頂戴しました、と頭を垂れる。これだけ食べてカフェで締めて、二人で90ユーロ。文句なしのお値段だと思う。

帰りは山道をやめて、スーペルストラーダでサンセポルクロ、アレッツォへ出てA1でフィレンツェへ。所要時間2時間。行きは国立公園の自然の中を、帰りはシンプルに高速というルートが理想と見た。途中インチーザで降りてTHE MALLに立ち寄るのも良し。ただし、閉店が19時なので、逆算して出発するのを忘れずに。mnm

匡克 池田
About 匡克 池田 (1167 Articles)
1967年東京生まれ。イタリア国立ジャーナリスト協会会員、フォトジャーナリスト。日本で出版社勤務後独立、1998年よりフィレンツェ在住。「シチリア美食の王国へ」「イタリアの老舗料理店」「フィレンツェ美食散歩」「伝説のトラットリア、ガルガのクチーナ・エスプレッサ」など著書多数。2011年に池田愛美と株式会社オフィス・ロトンダ設立。国際料理コンテスト「Girotonno2014」「Cous Cous Fest2014」で日本人初の審査員となる。 http://www.office-rotonda.jp https://www.facebook.com/ikedamasa

2 Comments on Locanda al Gambero Rosso@Bagno di Romagna

  1. ガンベロ・ロッソは頼りになりますね。ただ、車で行かないと行き着けないような場所にあって、ランチで飲んでしまうとその後が。。。。。
    桃の自家製ジャムとは美味しそう。来年にでも寄りたくなってきました。

  2. えみ様
    コメントありがとうございました。
    確かに、トレ・ガンベリのお店は、なんでまた!と思うような僻地にあることが多いです。一大決心しないと行けないですね。
    桃のジャムは、本当に美味しかったです。
    ジャムというよりは、コンポートでした。
    来年もあるといいのですが...

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