Harry’s BAR@VENEZIA

カルパッチョ68.00ユーロ。ベッリーニ15.00ユーロ。クロケッテ(鶏とマッシュルーム)、バッカラ&ポレンタ。つねづねヴェネツィアで遊ぶなら、金に糸目を付けず湯水のようにつかってこそ楽しい、と実践はできないが、認識だけはしている私。その典型にして極致がこの店であることに疑いはない。

子牛のカルパッチョは爽やかで淡白だが、自家製マヨネーズは思いのほか重かった。口中にしばらく油脂が残って消えない。とはいえ一見、一食の価値あり。このカルパッチョを「高い」と叫ぶのはたやすい、というより事実の羅列では意味が無い。そこにいかなる意味を見いだすか。これを食することで己の中の壁をひとつ越え、イタリア料理無間地獄へと足を踏み入れる第一歩の始まり。ヴェネツィア快楽主義へようこそ。
MASA