Pasquettaの食卓とBisteccaの考察

本日はパスクエッタ。昨日の復活祭の振替休日のようなものですな。で、昨日に続いて午餐はサルデーニャのコッツァ一家におともしてトスカーナの田舎、ボルゴ・サン・ロレンツォへ。田舎家を改装したトゥーリオ宅の中庭でサルデーニャ産オリーヴでスプマンテ。面子はエリオ、マルツィア、サルド友達ライモンド。以上男3人はみな料理人だが、本日の料理長はホストのトゥーリオ。

フレッシュトマトとニンニクのペンネ。これはトラットリアのまかないでよく食べる、そう簡単には素人が真似できないシンプルかつ滋味深いパスタ。ポイントは種をちゃんと取ることとオイルを加えた後の乳化具合、かと。

セコンド、サルデーニャの伝統ポルケッタ。本日は炭を熾し、骨付きの切り身を串刺しにしてじっくり焼いたもの。調味は塩だけ。炭火焼豚がうまくないわけがない。つけあわせはトマトとレタスのサラダ、ナスのグリル。ナスはオイルをたっぷり吸わせるぐらいでグリルする。すると内部のオイルも高温になり、中からも加熱されるからはず。さもないと炭火じゃ外だけすぐに真っ黒こげになってしまう。オイルをケチってはいけない。さらにブッラータと生バチェッリ。イタリアの空豆バチェッリはまだ出始めでキロ4.50ユーロ(マルツィア談)と高いが初物、ありがたくいただく。トスカーナではこれを生で食べる。エリオは手のひらにひとさや分剥いてから塩をふって、薬でも飲むかのようにぱっと口に放り込んでたが。ドルチェはマチェドニアとコロンバ。近所のパン屋のお手製コロンバは外はかりり、中はしっとり。ワインはCastello di Brolio C.C.、リモンチェッロ、アマーロ・モンテネグロ。

なぜ炭火焼き肉は旨いのか?という考察。まず炭火は熾火が第一条件。すると遠赤外線効果で肉の表面から熱が吸収されやすく、内部まで均一に火が通るから。さらに熾火の状態だと炭の水分が完全に飛んでいるので乾燥焼きとなるから。落ちた脂が燻されて炭の香りが肉にもつくから。なので外はカラリと香ばしく、中はしっとり、となる。焼く前に塩をふるのは調味のためだけではなく、塩によって肉の表面のタンパク質が溶け、アミノ基とブドウ糖などの還元糖が高温で反応して焼き色がつく、つまりアミノカルボニル反応によって見目も麗しく、美味しそうに焼き上がるからである。それと塩の効果によって表面のタンパク質の凝固温度が下がる、つまり表面が早く焼き上げるので中心部の水分を逃さない、という効果もある。

さらに話はそれるがビステッカを焼くときは加熱面には塩をふらず、非加熱面にだけ加熱中に塩をふる、というやりかたがフィレンツェのトラットリアではまことしやかにささやかれている。これはただでさえ噛みごたえある赤身の肉質を持つビステッカの水分が抜けすぎるのをふせぐためと、スリーフィンガーが正当とされるほど厚切りなので長時間加熱を必要とし、ゆえに表面の凝固温度を下げるのは過加熱を招くことになり不要、なのかと。それに味付けとしての塩は片面にだけあれば十分なのかもしれない。大抵ビステッカを食べるときは塩、オイルで自分で調味して食べるし、実際食卓に運ぶ際にはアミノカルボニル反応によって奇麗に焼けたB面を表にして出せば問題ないし。要するに焼きの目安としては塩なしで裏7、塩ありで表3、ぐらい?いや、よく考えると断面図はAB両面とも均一に火が入っているな。次回自分でビステッカ焼くときはとりあえず6、4で焼こう、とかポルケッタ食べつつ考えていたが、ビステッカ屋でちゃんと聞いたわけではないので以上は想像が大部分。MASA