飲み屋礼賛@Barcelona

当初十連泊を予定していたホテルが、ネット環境がダウンしている上にそれを直そうともフォローしようともしない、お飾り的なレセプションのスタッフの木で鼻をくくったような態度にほとほと嫌気がさしたので、旧市街で治安は良くないかもしれないけれど新しくてとにかくネットが使えるホテルに移る。それまで泊まっていた壁の薄いなんちゃってデザインホテルから、ここもまた今時風の新しいところだけれど、スタッフの感じは百倍アップしたのでとりあえず良し。

界隈はバルセロナ旧市街のど真ん中、バリ・ゴシック地区の北東側、ボルン地区。十年くらい前までは絶対に足を踏み入れてはいけないと言われていたゾーンらしいが、今はバルやレストランの密集地。それもちょっとこじゃれ系がそれこそしのぎを削る感じで林立している。こんなに変化したのも、アーチスト達が好んでこの地域に住み、それが人を呼び、ついでに警邏のおまわりさんを立たせるようになり、繁華街化したからであろう。アーチストはこういう場合、街を分解再生するバクテリアのような役割を果たす。

ところで、スペインはバル文化が示すように、飲み屋街が形成されやすい質であるらしく、マドリードにもレオンにも西の果てのア・コルーニャにも飲食店ストリートのようなものがある。なかでもバルセロナは洗練の度合いから言って異色だけれど、基本は飲み屋街であることに変わりはない。

振り返ってイタリアはというと、あんまりそういう飲み屋密集地域というようなものはないように思う。フィレンツェのような小都市にはもちろんないし、ローマやヴェネツィアといった観光地ですら、スペインに比べれば店は分散傾向にある。ミラノのナヴィリオ運河沿いがあえて言えば近い気もするけれど、地元民というよりは郊外から遊びにやってきた連中か外国人向けの雰囲気がないでもない。

なにはともあれ、スペイン飲み屋街礼賛巡礼は続く。mnm