表敬訪問 ダ・サスィーノ@弘前、トト@福岡

随分時間が経ってしまったけれど、この度帰国中の目玉イベント、弘前「Osteria Enoteca Da Sasino」と福岡「Antica Osteria Toto’」訪問をご報告。

「Da Sasino」笹森氏は、自らのブログでもレポートするように、元祖つくるぞ主義のイタリア料理人。生ハム、サラミ、チーズは自給率100%、パスタはすべて手打ち、野菜もおばあちゃんの畑を半分借りて自家栽培。東京の同業者には望むべくもないスタイルだが、東京では簡単に手に入る素材が弘前では幻の素材となってしまうことから、「それなら自分でつくるぞ」と半ば崖っぷちからの這い上がりの結果なのである。逆境に強い、真の東北人を彼に見る。

生ハム&サラミのなかでは、スペック、カポコッロ、鴨など「イタリアに輸出してもいいんじゃない?」と無責任助言してしまうほど美味い。チーズは香り高く、塩味適度で甘みもあり、これはジャージー乳の威力なのか、と愕然。今、自家製ワイ●も研究中ということなので、数年後の一層の飛躍を期待して、また訪れなくてはと心中誓いを立てた次第。素材完全自給という日本イタリア料理界前人未踏の記録を打ち立てる日は遠くない。

「Toto’」本田夫妻は、一見穏やかな、その実豪放磊落な庖丁人九州男児と、にこやかに、しかし縁の下の力持ち的に夫と従業員を支え守るソムリエマダムのカップル。「本当は男くさい店にしたかった」らしいが、デートから商談まで幅広い客層に受けているのも、二人のお人柄ゆえ。しかし、料理には甘いところなど微塵もなく、しっかりとピンのきた味がやはり多くの人の舌をとらえるのであろう。

修業先のシチリア・カターニアの店の方式を踏襲して、前菜は小皿でいろいろなものが出てくる。玄界灘の新鮮な魚介がこの小皿前菜のキモ。カターニアの魚市場を彷彿する妙技である。そして、容赦ないボリュームのプリモにセコンドは、小鳥のエサと見まがうような都会的極小盛りを不得手とする向きには是非今すぐに駆けつけていただきたいと思う。あ、でも、予約はしたほうが良いでしょう。(写真のパスタは一人前を二つに分けてもらったもの)

どちらの訪問も前夜はお鮨屋さんにご案内いただいた。日本に帰ったらまず鮨、機会あるごとに鮨、と鮨アディクトである私には願ってもない段取り。弘前「大谷」さん、福岡「田可尾」さん、どちらも大変美味しかったです。mnm

Osteria Enoteca Da Sasino tel.0172-33-8299 弘前市本町56-8 グレイス本町2F
Antica Osteria Toto’ tel.092-402-3305 福岡市中央区荒戸1-13-18