Le Tre Galline@Canale

仕事初めは某ワイン専門誌のワイナリー訪問記。年末から恐れていた予報は的中、降りしきる雪の中での取材となった。冠雪カンティーナなど、雑誌的にはありえない写真なのでそういうのはあえて撮らず。フォトグラファー的にはそそられる絵図が結構あったみたいだけれど、同行者が寒さに耐えられないので却下。

その前夜、つまり正月二日、ロエロ地区のCanaleで晩ご飯場所を探せども、大晦日夜のcenone疲れ沈殿する街にあるわけないじゃん! バールでもいい、どこか開いてるぅ?と半泣き状態の我々の眼前に不思議な緑色に浮かび上がるリストランテの文字。入り口に駆け込む時、見たこともないほど巨大な黒猫が番をしていたけれど、そいつに目をくれる余裕が1ミリもなかったことはここに正直に告白する。

「やってる?」の問いに即座に「どこでも好きなところに」。娘がサービス、マンマが料理、という働く女の店の客は、我々よそ者以外は、どう見てもワイナリーの実働部隊(つまり、農家のかたがた)の新年会とおぼしき集まりのみ。彼らも我々も口頭で「アンティパストいろいろを食べるか?」「食べる」「プリモは食べるか?」「食べる」といった具合に、食事は粛々と進む。

翌日のワイナリー取材で教えてもらったことには、かつてアンチェロッティ監督が10日に1度は訪れたというご贔屓の店。マンマが毎日手打ちするパスタがお目当てだったとか。確かにパスタは美味しかった。ただ、ラグーはかなりあっさり味。言わせてもらえば水っぽい感じ。でも、パスタ自体を味わうのであれば、これはこれでアリなのかもしれない。妙にプロっぽくないところがまた来たくなる理由なのかもしれない。

ワイナリー取材後にお連れいただいたPriocca d’AlbaのIl Centro。例によってピエモンテ式前菜地獄で開始。Crema di Castagnaに小さな豚角煮を添えた突き出しの後、野うさぎのネッビオーロ煮温サラダ仕立て、カルドのパルミジャーノ・フォンドゥータクリーム添え、豚もも肉の塩釜焼き(見た目プロシュート・コットのスライス)。パスタはアニョロッティのバター&セージを選択。同席のかたがたが選んだタヤリンは見たこともないほど麺が激細。同行のカメラマンがトライしたレバーを詰めたラビオリは、意外なあっさり味。セコンドは去勢鶏のボッリート。肉色の赤みが強く味しっかりめで、添えられたプラムのジャム、黄色ピーマンのジャムもいらないほど。久しぶりのピエモンテ料理は雪の似合う冬の味であった。mnm