キャッチコピー

この一週間ほど、エミリア地方の食巡りに出ていました。生ハム、パルミジャーノ・レッジャーノ、バルサミコ、手打ちパスタと、お馴染みのアイテムてんこもりの地方ですが、気をつけていないと野菜不足に陥ります。エミリアは農業が盛んで、野菜も豊富に栽培されており、特に加工用トマトの生産量では抜きん出ています。しかし、メニューで目立っているパスタやサルーミや肉料理につい気をとられてしまうのです。エミリア旅での要注意点です。

パルミジャーノ・レッジャーノの取材では、同生産者組合に先導をお願いしました。この組合はプロシュート・ディ・パルマの組合同様、イメージコントロールに莫大な費用を投じています。世界的に知られる商品だけにプロモーションとプロテクトには気をつかっているのです。我々は個人的に、ワインのキャンティ・クラシコと併せて、イタリア三大先進的組合と呼んでいます。

組合ではさまざまなパンフレットやガイドブックを作成していますが、そのなかでひとつだけ日本語でまとめられたものがありました。随分昔に作られたものらしく、写真もフォントも時代が感じられるものですが、簡潔でなかなかよくできています。ところが、一カ所だけ、気になるところがありました。

パルミジャーノ・レッジャーノ組合が掲げるスローガンというか、キャッチコピーは”Non si fabbrica, si fa”というものです。彼らによればそれは、「工場で画一的に大量生産されるものではなく、人の手で作られたひとつひとつ異なるもの」という意味らしいのですが、日本語での表現は「製造するのではなく、自ら出来るもの」となっています。

ちょっと違う気がするわねーと言うと、「じゃ、どうすればいい?考えてくれる?」と言われました。キャッチというだけあって、ながながと言葉をつないで説明するのではなく、ぱっと目を引く簡潔さが求められます。これは難しい。どなたか良いキャッチを思いついたらご一報ください。報酬は...広報担当者に聞いておきます。mnm