トリノ・ドルチェ紀行

Dolceもとめて南船北馬、イタリア・ドルチェ紀行第二章は秋風吹き始めたトリノに突入。ヴィットリオ・エマヌエーレ2世、カヴール、ガリバルディといったイタリア統一歴史物好きにはぞくぞくするようなキーワードが次々に飛び出してくるトリノ・ドルチェ。2006年トリノ冬季五輪直前にはいろいろな雑誌にそのような話を書いたものですが、そんなブームも一段落。ようやく今現在うわついた表面的なトリノでなく、落ち着いた、本質的なトリノとカフェ、菓子屋事情が見えるような気がいたします。

身売りした老舗、家族経営を守る頑固な老舗。一口に」老舗」とは言っても形態はさまざま。しかしいくら技術では本家イタリアを凌駕しつつある日本のイタリア料理、菓子業界でも唯一模写できないのが時間の堆積が織りなす「伝統」という無形の力だと信じてやまない老舗好きとしては、ビチェリン、バラッティ、ペイラーノ、ムラッサーノ、カンビオ、カフェ・トリノ、プラッティ、ラヴァッツァ、こうした店の片隅で過ごすひとときは、その時間密度が数倍、数十倍にも凝縮する至福の時間であります。写真はバラッティ&ミラノのディスプレイ。現在は日本人女性も働いております。MASA