Ristorante del Cambio@Torino

この秋2度目の訪問となるトリノの老舗中の老舗「リストランテ・デル・カンビオ」。創業1757年の老舗中の老舗でその歴史について書くと長くなるのでご興味のある方は「イタリアの老舗料理店」を秋の夜長、ワイン片手にごゆっくりとお読み下さい。原オーナーのTHIがミラノの老舗「サヴィーニ」を手放してしまい、今やあのマリア・カラスやオナシスが食事した文化遺産のような空間が消滅してしまった現在、イタリアでも屈指のハレの場であり「迎賓館料理店」の筆頭格がこのカンビオであります。長方形のホールで短辺にあたる鏡を背にしたベンチシートは「カヴール・シート」に次ぐ格の高い席で、前回は入口に近いベンチシートをいただきましたが今回は最奥部のひな壇席で、結婚式でいえば新郎新婦が座る最も格式高い席。若輩者には敷居が高いシビれる席で、遅れて登場して来たサッコ氏と季節の挨拶など二言三言。

で、本日のメニューはこんな感じです。

Antipasto
Il vitello tonnato alla maniera antica
Il cardo gobbo di Nizza Monferrato con fonduta di Castelmagno e nocciola tonda gentile del Piemonte
Capesante arrosto con mela verde, foie gras e riso soffiato
La carne cruda di manza fassona battuta al coltello
La cocottina del Cambio gratinata alla crema di tartufo bianco

Primi piatti
Agnolotti tradizione del cambio al sugo d’arrosto
Spaghetti Afeltra di Gragnano con gamberi rossi di Mazara del Vallo e puntarelle
Tortelloni di patate e carciofi in brodo di quaglie
Risotto carnaroli “Acquerello” mantecato al Barolo di Castiglione Falletto e il cardo gobbo di Nizza Monferrato

Secondi piatti
Guanciale di manzo brasato al Barolo
Tagliata di manza fassona alla Vialardi con finto ossobuco
Navarin d’agnello con verdure d’autunno e olio di nocciole
La Finanziera del cambio 1875
Stinco di vitello a lunga cottura con salsa al rosmarino
la miglior selezione di formaggi D.O.P. dalle nostre valli piemontesi serviti con gelatine in abbinamento
Il Gran Fritto Misto alla moda del Cambio(35pezzi circa)su prenotazione

Menu di tradizione
Battuta al coltello alla monferina, con intingolo di olio,aglio e acciughe
Il cardo gobbo di Nizza Monferrato con fonduta di Castelmagno e nocciole
I “Tajarin” con il comodino delle Langhe
Stinco di vitello a lunga cottura con salsa al rosmarino

値段を書くと野暮なのであれですが、ガルガよりは低めの値段設定という感じです。で、こういう秋深まるピエモンテの老舗で何を頼むかというのは老舗への敬意がどれくらいあるかに比例すると思うのですが、ジーンズで現れた若めのカップルは「シチリア産エビのスパ」と白ワインを頼んでおられました。この場合どの料理が美味しいかそうでないかという問題は全く関係なく、単に時間と歴史に対する解釈の違いであります。

で、頼んだ料理はタヤリンと「フィナンツィエラ1875」、相方は同パスタと「カルネ・クルーダ」をセコンドにいたしますと、例の熟年カメリエーレが「今宵はピエモンテですな」とおっしゃってくださいました。とても嬉しい褒め言葉でございます。料理の詳細は略しますが、「フィナンツィエラ1875」はどこかで食べた酸っぱい煮込みと違って子牛の胸腺肉、子羊の脳みそ、雄鶏のとさか、揚げ物2種など入ったそれはそれは豪華な、家庭料理を昇華させた素晴らしいハレの料理、マイ・ベスト・フィナンツィエラでございました。メニューを読み解く喜びは広尾インカントですでにご経験済みの方も多くいらっしゃるかと思いますが、ひかれるのはやはり「Il Gran Fritto Misto」のゴシック文字。これは要予約でカエル、カタツムリ、さらにありとあらゆる肉、野菜、うんぬんかんぬん計35品目を揚げた料理で2〜3人前はあるということ。サッコ氏いわく「完食したのは(イタリアでもこういうのか・・・)いままで一人かなぁ」だと。木曜日のボッリート・ミストと並ぶこうした驚愕料理を試したという豪傑は一度是非。お誘い合わせの上ご一緒いたしましょう。

ちなみにここまではいわば前菜みたいなもので、今日のホントの目的はピエモンテの正統的なドルチェを食べ、撮影するということでした。写真はトルタ・ディ・ノッチョーラ&マロングラッセとパンナ・コッタ。若い女性が担当した盛りつけはだめだめですが、写真は迎賓館の雰囲気がなんとなく伝わるHOLGA風レトロタッチで。MASA