さらばエルブリ?

今朝起きてYahoo!ニュースを見てみると「スペインのエルブリ一時休業」との衝撃的速報が。エルブリについては説明するまでもないので省略しますが、記事によればフェラン・アドリアは働き過ぎの現状に疲れ、2012〜2013シーズンまでの2年間店を閉め、その間充電して2014年に再オープンする予定だそう。とすれば90年代から2000年初頭にかけて一世を風靡したフェランの世界が体験できるのはあと2年、ということになるのでしょうか。

思い起こせば2003年3月、フェランと東京の和食店「壬生」のコラボの密着取材で2泊3日エルブリにつめたことがありました。我々雑誌メディアは3誌、他にTVも入り、服部幸應先生、山田宏巳、脇谷友嗣両シェフなど錚々たるメンバーが入れ替わり立ち替わり顔を出す派手なイベントでありました。

この時はフェランが撮影用に(特別に)準備してくれる一皿を上記4チーム、プラスオフィシャル撮影班の5チームで素早く回しながら撮影するという未だかつて無いものすごくタイトな撮影をしたものです。当時はまだポジ撮影でしたがそれぞれのチームがストロボをセッティングしてシャッター切るのはせいぜい3コマ。しかも出て来る料理がスプーマを進化させた2003年の新作アイレ、つまり気体(!!)だったりして泣きながら撮影しました。で、こうした撮影料理を取材スタッフ計10人あまりで分け合った味見しましたが当然何を食べたか全く分かりません。やはりエルブリでは腰を据えて30品デグスタしなければ意味がないのです。

しかし美味しかったのは撮影中のエルブリのまかない。ここでは新人がスペイン伝統料理を作る、というのがまかないの掟なのですが、この時食べたイカのフィデワはとても美味しかった。アーカイブを探したらこのまかない時の写真が出て来ましたが、一応説明しますと左からスペイン料理の巨匠アルサック、天才フェラン・アドリア、服部幸應先生、です。7年前ですからさすがに若いな、フェラン。

あと忘れられないのが撮影中の差し入れ。朝から晩までどんな進行になるのか想像がつかない密着取材ですし、夜のまかないを食べ損ねたので夜更けになればお腹もすいて来ます。そんな時、仲良くなったエルブリのスタッフ、チュース君が「これ食べる?」と持って来てくれたのがジャガイモのトルティージャを挟んだパン・コン・トマーテのボカディージョ!!これが美味しくて撮影の合間にこっそり立ち食い。以来カタルーニャに行くと必ずパン・コン・トマーテを頼むようになったのはこの時の記憶が鮮明だからです。下の写真はその時の撮影料理。Mandarina en texturas、Espaguetis al Parmesao、Caviar de Ceps、Ravioli de Guisantes。どれがどの料理でどんなテクスチャーなのかはご想像してお楽しみ下さい。MASA