Da Vittorio再び

曇天のパレルモから車を走らせること約2時間。やってきたのはシチリア南海岸にある、南西シチリア最強のトラットリア「ダ・ヴィットリオ」。プラネタの畑&最新の同経営のホテル、ラ・フォレステリアを横目にポルトパーロの行き止まりへ。今はカーナビがあるから楽だけれど、思えばその昔はよくここまでたどり着けたもんだ、と回顧。

食卓に着く頃には海も穏やか、天気は快晴。例によってとれとれのガンべロロッソのレモンマリネに始まり、さくさくのシラスのフリット、巻き貝のぴり辛トマト煮、茹で海老マヨ。ワインは地元に敬意を表して可憐なエニシダ、プラネタのアラストロ。

次いでパスタ3連発。まずは見目麗しい海老とピスタチオのスパ・青唐辛子入り、さらにこくのある魚卵スパ、そして何はなくともダ・ヴィットリオ名物のウニスパ!!濃厚で噎せかえるようなウニを「これでもか!」と投入し、少量のトマトソースで軽くマンテカーレ。麺は軟弱なスパゲッティーニでなく、噛みごたえあるスパゲットーニに近いスパゲッティ。これを噛み砕くと官能が口中ほとばしり、おもわずメンフィの青い空を呆然と仰ぐ。一口また一口と皿はあっという間に空になりダ・ヴィットリオへの復讐はこうして完遂する。

さらにセコンドはガンべロロッソとカラマリを粉だけでからりと揚げたフリット山盛りとミントを効かせたカジキのグリル。もうしばらくは海老を見るのも嫌というくらい堪能し(とはいえきっと明日も食べるのだが)プラネタのシャルドネできりりとしめる。見れば快晴の土曜の午後のテラス席はほぼ満席。南西シチリアの外れの外れ、行き止まりにあるメンフィの奇跡。MASA