週間食卓日記Venezia編

ここ一週間(いや、二週間?)Venezia、Milano、Roma、Firenzeを行ったり来たり、時に日帰り時に泊まり歩くノマドな日々を送っておりました。それは久しぶりのレストラン・リサーチ強化月間ツアーでもあったのですが、そんな日々から幾つかレストラン情報などを。

2010年8月某日Alla Vedova@Venezia
3泊4日の予定だけれど、例によって予定が早く終了すれば「前倒し」と称してホテルも電車も飛行機も全て変更して現場を撤収するのがこの稼業の常。というわけでヴェネツィアはリアルト橋近辺の定宿Gに荷物を置き、昼はAlla Vedovaで軽く一杯。ミレッラが注いでくれたオンブラの白と揚げたてのポルペッティーネ・ディ・カルネ2ケを立ち飲み、立ち食い。これで3.50ユーロ!!

夜は人もまばらなPromessi Sposi@Veneziaにてピゼッリ&バッカラ・フリット、ポルペッティーネの串揚げをつまみにオンブラの白を2杯。客は立ち飲みの地元客をのぞけば他にイタリア人家族観光客が一組、とやや寂しいので早々に立ち去る。

で、2月に福岡の料理人、本田剛@Antica Osteria TOTOと一緒に来て以来半年ぶりにバーカロのはしごにペスケリア市場方面に出かけるも8月中旬のこの日はいつもの店もことごとく閉まっている。20時過ぎてDo Moriはすでにクローズ。All’Arcoは夏休み中。Diavolo e Acquasantaは定休日。やむなくぷらぷらしていると、Da Pinto脇にあったTVゲームを置いてるようなさびれたバーカロが寿司BARになってた。のぞいてみると雰囲気は中国経営。後に聞いた話ではこの近所にさらにFirenzeの名店Iが出店予定とか?ちと変わりつつあるこの界隈だが、Da Pintoの呼び込みだけは変わらない。

 

2010年8月某日Osteria Boccadoro@Venezia
シェフ、Lucianoと料理撮影の後、まぁ座ってけ、といわれ白ワイン飲みつつ撮影の残りをつまむ。マテ貝、ホタテ、車エビ、マグロ、スズキといった生魚盛り。とはいえ微妙に低温調理してあったり白胡椒やら醤油を一滴やらごま油やらを忍ばせてあって単に「サシミです」といって魚介類を生でだすだけの店とはひと味違うプロの味。特に赤身のズケ風には感服。さらに花ズッキーニを使ったイカスミのタリエリーニ。野菜のブロードを使うとこんなにも旨味豊かに仕上がるのか、という見本。家庭では再現しえない味。

Da Alberto@Venezia
「昼、食べてかないのか?」というBoccadoroを早々に退散した理由は「いや、昼時にバーカロ巡りしなきゃいけないんで」というもの。というわけでDa Albertoでバッカラのフリット、ポルペッティーネ、オンブラ・ビアンコを立ち飲み、立ち食い。スタッフも親切、適度に混雑したいい店。

Mondo Vino@Venezia
前日に通った時は外国人観光客がたむろしててなんとなく不安が脳裏をかすめたのだが、いざ入ってみると意外?と親切な店主でバンコのタパス風チケーティもなかなか。で、いろいろ頼んでみる。バッカラ・フリット、しょっぱい。バッカラ・マンテカート、味が無い。イワシ、同じく味が皆無。極め付きはアランチーニで一口かじると納豆のような発酵臭がした。半分以上残して会計を頼むと「お気に召しませんでしたか?」とやや寂しげに店主。愛想はいいのだが、古いつまみを出すのは勘弁して欲しい。大体小ビール(ヴェネツィア語でビリン)頼んだら小ジョッキで出す店って初めて見た。ヴェネツィア以外ではまず見かけない恐ろしい店。

Enoteca San Marco@Venezia
サン・マルコ広場周辺できちんとした料理とワインで過ごしたいと思ったらここしかない、といえる店。キレ味鋭い料理をすぱすぱすぱっと3品撮影した後、共同経営者ルカとフランチャコルタでプチ打ち上げ。こちら、シンプルな「カプレーゼ」とか「クスクス」なんていう料理も美味しいのです。

Alla Vedova@Venezia
昨日に続いて今日は夜に訪れたアッラ・ヴェドヴァ。前菜(小)はイカの白子「ラッテ・デ・セパ」(ヴェネツィア風に)、ピゼッリ、イモタコサラダなどなど、これにはプーリア(?)の甘めにオイルがとてもよくあう。しかしいつもながらこの店でNGなのは半割にしたイイダコ、フォルペッティ(ヴェネツィア弁です)。運河のかほりがする、と思うのはきっと私だけではあるまい。続いてスカンピの辛いトマトソース「スパゲッティ・アッラ・ブザーラ」と同様にアサリのスパ。ともにアル・デンテなど聞いたこともないかのようなやわ麺はどこかせつなくさせるがこれまた甘口のオイルがよくあう。ナポリ風のアサリ・スパとはベクトルも哲学も全く逆方向のパスタだが、これもまたヴェネツィアならではの味。しめに魚貝のフリット・ミスト。仕上げに広場のカフェでエスプレッソとグラッパ。

2010年8月某日Al Merca@Venezia
この日は朝からペスケリア市場など撮影。市場脇にあるAl Mercaで朝10時からプロセッコ・ブリュット飲みつつヴェネトの塩漬け肉カルネ・サラーダとルッコラの一口パニーノ。市場脇のカフェで在ヴェネツィアの日本人ガラス作家、ツッチーこと土田康彦氏と昨年秋にインタビューして以来一年ぶりにばったり遭遇。元辻調、後にパリを経てハリーズバーで腕をふるった経歴を持つアーティスト、ツッチーは肉体を駆使して作品を創り上げるそれはそれはパワフルな方でございます。彼の作品にご興味ある方は「土田康彦」で検索してみて下さい。

●●●●●●●@Venezia
地元の人が「ここは美味いよ!!」と勧めてくれた店をのぞいてみたら「サマー・スペシャル・メニュー20ユーロ!!」とか入り口にべたべた貼り紙がしてあり、カウンターにもたれて酒を飲む親父以外に食事客がいない殺風景な店。日々ガンベロロッソとオステリア・ディタリアを読みふけり、「どこが美味しいかしら?」と新店開拓に精を出すような男か同業者、業界筋でないかぎり、地元の人が「あそこは美味しいよ」といっても眉につばつけて聞くようにしているのだが、ここもそんな店?とはいえ店の好みは十人十色、なのでくるりときびすを返してクアットロ・フェリに向かう。

4 Feri@Venezia
野菜の前菜、魚の前菜、イワシのフライパン焼きはウロコ付きのまま大胆に焼いた料理でポルトガルを思い出した。さらにイカ焼きはカラマロにクープを入れて、フライパンで両面シンプルに焼いたもの。ともに美味しい。しかしバルセロナ風にしあげににんにくみじんぎりオイルを鉄板にしゅわーっとかけて仕上げればもっと美味しいかと。そういえばヴェネツィア、アサリ・スパもそうだがニンニクって皆無かも?女主人ベティが仕切るシンプル&スピーディないい店。ヴェネツィアではピンポイントで店を探さない限りいい店には出会えない、という鉄則を今回も再確認。以上写真はまた後日。MASA