Luccaにて

 

ある土曜の朝、正確には10月9日、トスカーナの小さな世界遺産都市ルッカへ。ここのところイタリア料理原理主義都市として内外にその名を轟かせている町でもあります。というのも以前このブログでも取り上げましたがルッカ市は市内に今後イタリア料理以外の新規開店を認めない、というお触れを出したのです。

その理由はというと最近の経済危機に伴い爆発的に増え始めたケバブなどの異国製ローコスト・ファーストフードは衛生的に問題があるから、というものでした。表立っては外国料理は好ましくない、とはいってませんがトスカーナの中でもスローフード協会の存在が際立つルッカはどうしても料理思想的に右寄りなようです。本来外国料理だろうが何料理だろうが何を食べるか?を選ぶのは消費者の自由であり、しかもそれがローコストならば今のご時世何をおいても歓迎されてしかるべき。そうした料理選択の自由を阻害するのは行政がとるべき立場ではないのでしょうが、しかしその結果、一年ぶりに訪れたルッカでは確かに市内旧市街では中華料理、ケバブ、和食その他外国料理店は皆無。オステリア、トラットリア、あるいはワインバーなどがかなり増えていて、思わずのぞいてみたくなるようないい感じの店があちこちに出来ているような感じがしました。
確かにルッカは栗、スペルト小麦、ジャガイモパン、古代品種トウモロコシなどスローフード協会が「プレシディオ」に指定した希少食材が目白押し。さらに料理でも豚の血を使った腸詰めビロルドやら乾式加熱してから湿式加熱するという珍しいパスタ、テスタローリやらガルムージャやら珍品奇品が勢揃いするイタリア料理原理主義者からしてみれば一度は訪れてみたい土地でもあります。で、この日の昼は以前から気になってたアンフィテアトロ近くの「オステリア・バラッラ」へ。「ノルチーノ」つまりサラミ盛りはソプラッサータ、ラルド、プロシュート・クルード、サラミ、ロンツァ、コッパなどなどとペコリーノが2種。セコンドはこれまた希少黒豚チンタセネーゼの骨付きグリル、つまりトンテキ。見た目約1kg、オステリアなので回転早く、気楽に食べられる店です。しかもおしなべてルッカは勘定が安い。これもイタリア料理原理主義ルッカならではの特色かと。MASA