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アマルフィのジョヴァンニ

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イタリア料理のストックフォト10,000点超

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高台の町ラヴェッロに続いて向かったのが、アマルフィ海岸のハイライト、アマルフィ。かつて海洋共和国として栄えた面影は今やドゥオモ周辺にわずかに残るのみですが、迷路のような旧市街の裏路地を歩けばツーリストも皆無でそこはかとなく残る古いかほりがやけに切なかったりします。

3日間のアマルフィ滞在中、なんだかんだ毎日必ず一度は足を運んだのが老舗カフェ「パンサ」。イタリア老舗協会のメンバーでもある同店で朝はカプチーノ、おやつの時間はアマルフィ名物デリツィエ・アル・リモーネ、もしくはスフォリアテッラ(リッチャ)夕方はベルルッキのスプマンテ&さくさくオリーヴと来て食後はエスプレッソ&グラッパ、ついでにトルタ・カプレーゼの持ち帰りと朝な夕なに顔を出しては甘いものをあれこれつまんでおりました。で、アマルフィ最後の夜訪れたのが裏通りにある一見ツーリスティックなトラットリア「バラッカ」。NYのリトルイタリーあたりでキャリアを積んだかのような流暢な英語を話す兄弟とその甥や息子たちが働くという南イタリア的家族経営の典型のような店ですがツーリスティックだったのは客層だけでそのサービスはプロフェッショナルに徹していて誰一人無駄口叩かずきびきびと働き、若い見習い給仕もつねに背筋を伸ばして水を注ぐその姿には久しぶりに好感を覚えました。

Amalfi20101019_324 まずはアマルフィ海岸に来てからの楽しみでもあるラッターリ山地の温野菜の盛り合わせはペペロナータ、芯を残したファジリーニ、ブロッコリはさっと茹でてオリーヴオイルであえ、さらにチコーリアの炒め物。次いでムール貝のスープをつついているとふらりと入って来た流しのギター弾きがひとり。食後のリモンチェッロ片手に聞くともなしにぼぉーっと聞いていると「フニクリ・フニクラ」やら「ヴォラーレ」やら今や聞くのも珍しくなったこてこての観光ソングをつま弾き始めたのですが、これが結構シブい味のあるダミ声でいつしかグラスを持つ手がとまり、3曲目、4曲目と進むうちぐいぐいと引き込まれてしまったのでした。見ればまわりのアメリカ人、ドイツ人、イタリア人も同様でみな食事や酒がぴたりと止まっていて、店内で動いているのはギターをかき鳴らす流しの右手と彼を取り巻く熱い空気のみ。

帰りがけにそんな流しにチップを置いて帰ろうとするとカメリエーレが「だんな、ジョヴァンニ(例の歌手)はチップは受け取りません。現金を受け取るのはCDを買ってもらった時だけです」というのでさきほど聞いた曲がおさまったオリジナルCD1枚10ユーロをジョヴァンニから直に購入。二言三言言葉を交わしたついでにジャケットにサインをもらうと「いや、実は店のスタッフと賭けをしてたんだ。奴らは日本人は絶対に俺のCDを買わないだろう、なんていっててな」とのこと。聞けば我々がジョヴァンニの●十年の歌手生活の中で、名誉ある第一号の日本人購入者だそう。賭けに勝ったジョヴァンニと固い握手をして以来、アマルフィ・コーストのつづら折りを(制限速度内で)ぶっ飛ばす車内ではジョヴァンニの切ないダミ声を聞き続けていたのでした。その動画は近々公開いたしますので、ジョヴァンニのCDにご興味ある方はアマルフィの「バラッカ」にてお求めいただけます。MASA
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匡克 池田
About 匡克 池田 (1167 Articles)
1967年東京生まれ。イタリア国立ジャーナリスト協会会員、フォトジャーナリスト。日本で出版社勤務後独立、1998年よりフィレンツェ在住。「シチリア美食の王国へ」「イタリアの老舗料理店」「フィレンツェ美食散歩」「伝説のトラットリア、ガルガのクチーナ・エスプレッサ」など著書多数。2011年に池田愛美と株式会社オフィス・ロトンダ設立。国際料理コンテスト「Girotonno2014」「Cous Cous Fest2014」で日本人初の審査員となる。 http://www.office-rotonda.jp https://www.facebook.com/ikedamasa

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