南米の記録その4 クスコ

リマ空港から南米ローカルのLAN航空に乗り小1時間。やって来たのが標高3600mのクスコです。富士山並みの高山都市は空気が薄くて高山病に用注意、と噂には聞いていたものの、やはり空港を一歩出るとなんとなく動悸息切れで手足が冷たくなり、同じくなんとなく貧血気味に。そしてなんとなくぼんやりしたまま車で修道院ホテルまで運ばれ、やはりぼーっとしたままロビーのソファに腰を下し、「コカ茶をどうぞ」と勧められるまま高山病に効くという茶をすする。部屋行くまでの数段の階段を上るのが辛くて、部屋の内観を撮ろうと三脚を取り出し、カメラをとりつけるだけではぁはぁどきどき。あえぎながら撮影してそのままベッドに倒れ込む。こりゃあしんどいわ。ホントに空気が薄いのです。

初日はなるべく動かない方がいい、とはいうもののずっとベッドで伸びているわけにもいかず再び数段の階段と格闘しながらロビーに戻り、エントランスを抜けて町に出る。旧インカ帝国時代に首都だったクスコは古い石造りの古都で、大聖堂前の広場には周辺の町々から色とりどりの民族衣装に身を包んだ老若男女が集まって来る、民族大博覧会場なのである。山高帽に三つ編み、膝上スカートにニーハイという格好の老婆(!!)もいれば、ギター抱えてアンデスから下りて来たような紳士もいる。大聖堂前に腰掛けた老婆が何やらむぐむぐ食べているのでのぞいてみればなんとそれはコカの葉だった。

まるでそんな老婆を背負っているかのように、重い足を引きずり歩いたクスコで忘れられないのが紫トウモロコシのジュース、チチャ・モラーダ。これを一口飲むと不思議に身体がしゃきっとなり、背中の老婆もいつの間にやら姿を消していた。とはいえ空気が薄いのに変わりはなく、ひたすらゆっくりゆっくり隊列を組んですり足で歩いたインカ帝国の古都の午後。MASA