PolvorónとAlmendras

イタリアにまして素朴度の高いスペインのお菓子。甘さもかなりのものですが、お菓子は甘いもの。”甘くなくて美味しい”なんていうのはお菓子ではありません。正しく甘ければたくさん食べなくても済むのです。

ポルボロン。イタリアで音が似ているプロヴォローネprovoloneはチーズ。rとlの区別がつかない我々には混乱のもとですね。このポルボロンは、こんがりと焦がした粉と砂糖、卵、バターもしくはラード、シナモンを練り合わせて成形し、焼いたもの。アーモンドやレモンの皮を加えることもあります。南のアンダルシア地方が発祥らしいのですが、今や全国区菓子。さらさらと粉が崩れる感じとねっとりとした油脂が複雑に混ざり合い、シナモンの香りがエキゾチックなアラブ的味わい。コーヒーよりもチャイが合いそうです。

アルメンドラ。ずばりアーモンドという名の一口菓子は、ごく薄いウェハース生地のなかにトゥロンを詰めたもの。トゥロンはイタリアで言うところのトローネ、砂糖、はちみつ、卵白、アーモンドなどの木の実を加熱しながら練り合わせ固めた冬の菓子。堅さはいろいろありますが、アルメンドラの中に詰めるものは、トゥロン・デ・ヒホーナをすりつぶしてペースト状にしたもの。非常に甘く、しかも日にちが経つと油脂がしみ出してウェハースもしっとり。湿気ったもなかの皮が嫌いという人にはお勧めしません。

バルセロナの南の古代ローマ都市タラゴナで求めたビスコチョ詰め合わせ。松の実入りの薄切りビスコッティとオレンジ花水強烈なウェハース。本高砂屋のエコルセを彷彿するはかない食感と地中海的香りのなんとも言えないマッチング。オレンジ花水はシナモンよりさらにエキゾチックで扱いが難しい香料ですが、慣れると後を引き、懐かしさこみ上げる不思議な香りです。