Piccolo Napoli@PALERMO

パレルモ中心部でさまざまな意味で安心してシチリア料理が食べられる店、というのは実はさほど多くはない。伝統的な郷土料理を出す店を評価するSlow Food協会のガイドブックOsteria d’Italiaでもパレルモの常連といえばIl Maestro del Brodo、Paradiso、Ai Cascinari、Zia Pina、そしてこのピッコロ・ナポリPiccolo Napoliだ。

ピッコロ・ナポリは、モニュメントが集中するパレルモ中心部からは少々外れたポリテアマ劇場東側、ボルゴ・ヴェッキオ地区にある。パレルモでは、本来トラットリアとは昼のみの営業スタイルの店をさすことが多いが、ピッコロ・ナポリも同様、夜の営業は週末のみである。それを忘れて何度か徒歩、あるいはタクシーで店まで乗りつけてふられた経験もあるが、このあたりを意図もなく夜に歩くのはなるべくは避けたい。昼間はこのあたりにも小規模な市が経つが、人気もない夜の市場、というのはあまり気持ちのいいものではないからだ。

ピッコロ・ナポリも典型的な家族経営の店である。ホールをさばくのはオラツィオとピッポのコロナ兄弟。さらにはピッポの妻ロズマリーナ、オラツィオの息子ダヴィデも店を手伝い、前出のParadisoもコロナ家の親戚筋にあたるという、一族郎党トラットリア一家なのである。メニューもあるが、こういう店では店主と口頭試問であれこれやりとりして料理を決めるのが楽しく、またもっとも正解に近い答えを導き出す唯一無二の方法なのである。

前菜はサクサクのオリーヴ、そして揚げたてのパネッレ、前菜の定番はタコのサラダ、ボーガのアグロドルチェ、カポナータ、アンチョビのマリネ、限りなく生に近いエビのマリネ、そしてセッピオリーニのフリット。プリモはイカスミかアサリかウニのスパゲッティといった永世定番、そして忘れられないトマトを使ったオレンジ色に輝くイワシのブカティーニ。セコンドはピッポがすすめるその日の魚、カジキやカラマリなどをグリルしてもらうのもいいが、「一口でいいから食べろ」と必ずすすめられるのがタチウオのインヴォルティーニ。こちらはグリルでなくしっとりとしたウミドで食べさせ江くれるが、タチウオの脂とはこんなに甘く、上質なのかと思わせてくれること間違いない。

Piazzetta Mulino a Vento,4 PALERMO

tel091-320431 日休 昼のみ(木、金、土は夜も営業)