Transit Farm@ Fara Vicentino, Veneto

バッサーノの地から巣立つ新進ワイナリー

イタリア人は、ある程度成功するとワインが造りたくなるらしい。全員とは言わないが、 かなりの確率でワイン造りを開始すると思われる。 だいたい、成功する人はエネルギッシュで、仕事も遊びも食べることも大好き、自分はもちろん回りの人も喜ぶことがしたい、という傾向がある。ワイン造りはそんな成功者の“たしなみ”の一つなのである。しかし、やるとなったら徹底的にやる。なにしろ、それが成功者の成功者たる所以だからだ。

ヴィ チェンツァの北、チーズで有名なアジアーゴにほど近く、トレンティーノとの州境もすぐそこ、という場所でアパレル会社を営むアンドレア・コッツァは、典型的な“成功者”である。製造する服の約7割をドイツを始めとする外国に輸出、日本にもショップがあり、不景気のイタリアでも堅調を維持している企業だ。経 営者としてトップに立つ傍ら、近郊のコッリ・ヴィチェンティーノ(ヴィチェンツァ丘陵)に20haの農場を持ち、そこに自らの居室も構えて生活している。 馬を飼い、孔雀や鴨、がちょうや鳩も飼い、もちろん、犬も数頭いる。葡萄畑は10ha、オリーブ畑に2ha、残りが馬場。ただし、馬や動物の世話、畑仕 事、醸造、搾油には専門の従業員が当たっている。彼は、全体を統括して自分の作りたいものを作り出す根っからの企業人なのである。

辺り一帯 はDOC Breganzeの産地に含まれており、元来、ワイン造りの伝統が息づいている土地だ。伝統の品種を用いて、有機農法で育て、最新式の醸造設備でワインを 造る。ただし、不自然に人工的な手法は用いない。アンドレアが目指すのはシンプルでナチュラル。その土地の自然が存分に表現されていなければならず、流行 に左右されてはならない。それは、彼の本業であるファッションにも貫かれているフィロソフィだ。

手がけているのは現在7種類、プロセッコ、 シャルマー方式のスプマンテCion(ピノ・ネーロ、ヴェスパイオーラ)、同じくVespaiolo(ヴェスパイオーラ)、ピノ・グリージョDOC BreganzeのPinot Grigio、カベルネ・ソーヴィニヨンDOC BreganzeのCabernet、ロッソDOC BreganzeのBotacin(メルロー、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン)、そしてデザートワインのトルコラートDOC Breganze、Torcolato(ヴェスパイオーラ)。きめこまやかな泡立ちのスプマンテやトルコラートはことに上品でエレガント、飲み疲れること がない。体に合った服が疲れないのと同じで、負担が極力少なく心地よいことが優れたワインを示すバロメーターなのである。

TRANSIT Farm

Via Valle Zaccona, 25/A

Fara Vicentino, Vicenza

+39-0445-397083

transitfarm.it

About Manami Ikeda 68 Articles
池田愛美 Manami IKEDA ジャーナリスト、コーディネーター 出版社に女性誌編集者として勤務後、1998年イタリアに渡る。旅と料理の分野でインタビュー、取材、撮影、執筆、講演活動を日本、イタリア両国で行う。主な著書に「シチリア美食の王国へ」「サルデーニャ!」「フィレンツェ美食散歩」「ローマ美食散歩」「アマルフィとカプリ島」「伝説のトラットリア・ガルガのクチーナ・エスプレッサ」「Dolce!イタリアの郷土菓子」「極旨パスタ」「最新版ウイーンの優雅なカフェ&お菓子」など多数。

Be the first to comment

コメントを残す