第9回TASTE@Firenze、今年は8日〜10日開催

2006年から始まった一般消費者向け食の祭典TASTEは今年で9回目を迎えた。 メイン会場はフィレンツェ中心地を囲む環状道路、つまり古のフィレンツェの街を囲っていた城壁のすぐ外、プラート門そばの旧駅舎レオポルダで、それは第一回の時から変わっていないが、年を追うごとに出展者数も来場者数も増え、最近は会場内の混雑ぶりがとんでもないことになっている。少しでも人混みを避けようと早い時間を選んでも考えることは皆同じ、とにかく混雑をものともしない根性とスリ対策を万全にしておくくらいしか対処のしようはない。

メイン会場の今年の出展者数は昨年より増えて300、うち新規参加は55業者。そしてFUORI DI TASTEと呼ばれる、会場外の街中あちらこちらのレストランやワインバー、エノテカなどで催されるテーマイベントもまた拡充の一途を辿っている。フォーシーズンズホテルのレストランやバー、ミシュラン星付きレストランのOra d’Ariaなど高級レストランから、アウトレットワインショップやキッチンのショールームまでが参加し、各工夫をこらしたデグスタツィオーネ(試飲試食)の場を設けている。FUORI DI TASTEはメイン会場よりも二日早く6日から五月雨的に始まり、期間中連日続けるところや、テーマを日替わりにするところ、一日だけというところもあって、それぞれができる範囲で参加している。

こだわって選んだ食材をオリジナルの組み合わせで提供するパニーノ店 ‘inoのFUORI DI TASTEは8日12:00〜14:30までの短期間限定。ピエモンテ州ヴェルチェッリの米メーカーAcquerelloの米を使ったライスバーガー2種類が2時間半のスペシャルメニューとして登場。1つは白飯にズッキーニとサフランのペースト、パルミジャーノチーズ、もう1つはトマト味飯にモッツァレッラ、オレガノとドライケイパーのパウダー。日本人にはお馴染みの、炊いた米を円盤に形作って具を挟むスタイルだが、リゾットをセルクルでまとめるのとは違い、“手で持ってかぶりつく”のはイタリア人にとっては新鮮である。味つけはマルドンの薫製塩のみ、全体的に薄味で、ライスバーガーといえば甘辛味とインプットされてしまった者にはもの足りなかったが、具の組み合わせ方はやはり面白い。こんなチャレンジャーな味もあり、というのが、TASTEの懐の深さ、引いてはこの適度な緩さが持続発展の肝なのかもしれない。