Girotonno2014ファイナル、フランスVs日本Vsイタリア

2014年6月1日20:00、ジロトンノGirotonno2014ファイナル。ここまでの3試合を経て決勝に残ったのはフランスの「マグロのニース風サラダ」、日本の「サムライ・バーガー」そして予選最高得点を獲得したイタリアの「マグロの低温調理」の三者が対峙する。予選と同じ料理、同じプレゼンテーションとはいえ、特設会場のキッチン、そして主催者側から用意されたマグロを使用する等予選ではなにかとシェフ側に不都合が多かったが、同じスタッフ、同じキッチンで同じ料理を再度表現し、当然のことながら決勝の舞台では予選よりも料理の完成度は高まっていた。

フランス代表の「マグロのニース風サラダ」は予選時のようにカツオブシの風味が前面に出ること無く、マグロの火入れもよくなっていた。日本代表の「サムライ・バーガー」は予選よりもマグロにしっかりと火が入り挽肉のような弾力性のある歯ごたえを強調。予選時には「パンが大きすぎる」という声が特に女性陣から多かったが、その点の変更は間に合わず、基本的には予選と同じプレゼンテーション。イタリア代表の「マグロの低温調理」はこれまた予選よりもマグロの調理具合がよくなり、スイカやポモドリーニなどとの相性も非常によかった。

審査員の間ではさまざまな議論がなされた。日本人のテイストとしてサムライバーガーとモッツァレッラの相性について問われたSAPORITAは「日本でもモッツァレッラは非常に身近な食材となりつつあるが、鮮度とクオリティはまた別の問題。豆腐というテクスチャーが似た食材もあるからマグロとの組み合わせにも違和感は無い。しかし、サルデーニャというテリトリーを考えるとモッツァレッラよりもペコリーノ・サルドのほうがよりテーマが明確だったかもしれない。それに食べ終わった審査委員のトレーを見ると、みな一様にソースやモッツァレッラから流れ出たミルクが手元を汚していたのだから」とコメントした。

そして有料入場者の投票も加えた最終結果。まず、審査員部門で最高得点を獲得し最優秀審査員賞を獲得したのがブラジル代表、マウリシオ・ズィッロMauricio Zilloの「メトロポリトンノ」そして有料入場者からの最高得点を獲得した優秀賞が日本代表Haruo Ichikawaの「サムライ・バーガー」。そして優勝はというと地元イタリアではなくフランス代表シルヴァン・サンドラSylvain Sendra。決勝に関してはフランスが審査員、有料入場者あわせた最高得票を獲得した。

この結果には審査員、及び客席からも疑問の声が上がったのは事実である。なぜ予選1位通過のイタリアが何の賞も取れずに敗退するのか?予選の得票では2位だったものの決勝には残れなかったブラジルがなぜ最優秀審査員賞を受賞するのか?そして審査員得票でも入場者得票でも1位を獲得していないフランスがなぜ優勝するのか?この結果に関しては得票のみを基準にしており、審査員同士での話し合いはなかった。結果を聞いて以外に思ったのはSAPORITAもイタリア人審査員ジャーナリストたちも同様である。

それはともかく、フランスの「マグロのニース風サラダ」が予選よりも格段によくなり、完成度多いに高めていたことは事実であり、審査員の間からも同様の意見があがった。つまり最終結果1位フランス、2位日本、3位イタリア、特別賞ブラジル、というのが事実上の順位である。予選時の1位イタリア、2位ブラジル、3位日本、4位スペイン、5位フランス、6位アメリカという序列は決勝戦での得票で覆され、フランスと日本が多いに得票を伸ばして決勝には残れなかった物の予選得票2位だったブラジルを抜き去り、予選1位だったイタリアは決勝では表が伸びず3位に沈んだ、ことになる。

しかし予選時はとにかくマグロはレア、レア、レア、の一辺倒で意外なことに日本以外5ケ国の料理はすべてマグロはレア状態だった。その結果を踏まえてか決勝になるとイタリアとフランスはともにマグロの調理法を変更し、素材の状態にあわせレア思考をやや変更したように思えた。しかし今回、肝心のマグロはというと地元カルロフォルテにあり、イタリアで唯一現在も操業をしているトンナーラから一尾も来ていないことが分かった。イタリアにおけるマグロをめぐる複雑怪奇な構造については決勝当日の朝見学した古式マグロ漁、Mattanzaを巡る記事で紹介する予定である。ちなみにファイナルにおけるSAPORITAの採点は以下の通り。予選とは異なり、ファイナルにおける審査委員の採点は技術点のみで行われた。

Giudice Tecnica(技術点)

FRANCE             9

GIAPPONE                        8

ITALIA                                9