ピッツァかパニーノか?Trapizzino@ROMA

8月のある日、最新のローマ・ストリートフード事情を観察してみようと1日旧市街を歩き、パニノテカ、バール、ピッツェリアなどをあちこちのぞいてみたがローコストフードの大きな流れが主流を占めているのはフィレンツェと変わらず、ちょっとスタイリッシュなパニノテカ、あるいはグルテンフリーのピッツェリア、変わり種を提供するテイクアウト専用のピッツァ・ダスポルトがやけに増えているのが目についた。ガブリエレ・ボンチとEATALYの成功によってローマ発のグルメ・ピッツァも一段と加速しつつのは事実。ボンチの「ピッツァリウム」「パニフィーチョ・ボンチ」、あるいはボンチとクラフト・ビール「バラデン」のカリスマ、テオ・ムッソとのコラボ「NO AU」などなど注目のパン&ピッツァ・スポットが次々に誕生し、ローマはナポリとは違ったベクトルでイタリアにおける粉ものの首都となりつつある。

市場再開発を機に近年動きのあるテスタッチョ地区の「トラピッツィーノTrapizzino」もそんなムーブメントの一翼を担うピッツァリアである。というかそもそもこれはピッツァなのか?パニーノなのか?これはサンドイッチ=トラメッツィーノTramezzinoとピッツァPizzaの造語(商標登録済み)で、三角形のピッツァ生地にさまざまな具をはさんだピッツァなのだが、具がまたローマ的というか従来のピッツァのトッピング、あるいはパニーノのファルチートの概念を覆すトリッパ・アッラ・ロマーナ、コーダ・アッラ・ヴァチナーラ、リングア・ボッリート、といった強者からカポナータ、バッカラ・アッラ・プッタネスカという変化球まである。「これはピッツァなのかパニーノなのか?」と店のスタッフにたずねたところ「コカコーラと同じで製法は秘密です」との答えだった。

実際にトリッパ・アッラ・ロマーナを頼んでみると、その生地は麺棒で空気を抜いてつぶすようにつくるいわゆるローマ風ピッツァとも、生地の弾力を活かすナポリ風とも違った、さっくりとした軽い歯ごたえ。おそらくこれは最近流行の48時間発酵のスタイルだと思うが、非常に軽く、ウミド(汁物)を中心とした具とのバランスもいい。ピッツァ・フリッタのようでもあるが、イメージとしてはフィレンツェのランプレドットの延長線上にある。しかも値段はリーズナブルで3.5ユーロ。さらにコーダ・アッラ・ヴァチナーラのスップリを頼んだところローマらしく濃いめのトマトソースと固めにたいたご飯を実に軽い衣で揚げてある、目ウロコのストリートフード。味の強さ、押しの強さもローマ人のようで一度食べたら忘れられない。INOのようにイタリア全土でコピー商品が続出するのも時間の問題、な注目のストリートフードである。

Masakatsu IKEDA
About Masakatsu IKEDA 1141 Articles
池田匡克 Masakatsu IKEDA ジャーナリスト 1967 年東京生まれ。出版社勤務後1998 年イタリアに渡り独立。旅と料理のビジュアル・ノンフィクションを得意とし、イタリア語を駆使したインタビュー、取材、撮影、執筆、講演活動を日本、イタリア両国で行う。主な著書に「シチリア美食の王国へ」「イタリアの老舗料理店」「サルデーニャ!」「フィレンツェ美食散歩」「アマルフィとカプリ島」「Dolce!イタリアの郷土菓子」「世界一のレストラン オステリア・フランチェスカーナ」など多数。 2003年度「シチリア美食の王国へ」がイタリア文化向上に貢献した出版物に送られるマルコ・ポーロ賞(イタリア文化会館主宰) 最終候補作品にノミネート 2005年よりイタリア国立ジャーナリスト協会所属 2011年株式会社オフィス・ロトンダ設立。現在代表取締役 2014年日本初のイタリアの旅と料理をテーマにしたWEBマガジンSAPORITA設立。国際料理大会Girotonno、Cous Cous Festに日本人として初の審査員に選ばれる

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