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果たしてこれはエスプレッソなのか?Sant’Eustachio@ROMA

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Gambero Rossoから毎年発行されている「Bar d’Italia」はイタリア全土のバールをコーヒー(=エスプレッソ)とロカーレ(=雰囲気面)から評価した唯一無二と言っていいバール・ガイドである。それぞれをタッツァ(Tazza)とキッコ(Chicco)で表し1=buono、2=ottimo、3=eccelente、で3が最高ランクとなる。イタリアはナポリを中心として同心円を描くようにカフェは濃く、豊満になる傾向があるが、ローマにおける3 Chicci、つまりLocale eccelenteと評価されているバールはホテルのバーをのぞくと実はそう多く無い。しかしローマのカフェ・サンテウスタキオCafe Sant’EustachioはLocare Eccelenteの一件である。

1938年に創業したサンテウスタキオは21世紀の現代からすればタイムマシンに乗ってバールに行くような感覚である。とにかくすべてがレトロ。店を訪れる誰もが飲むのは、1948年製の薪窯で焙煎するエスプレッソ「グラン・カフェ」だ。これは従来のエスプレッソ、もしくは某アメリカ系チェーン店のような薄くてしゃぶしゃぶなエスプレッソを飲み慣れている人からすれば全く異次元、別次元のコーヒーである。ズッケラート、つまりすでに砂糖がたっぷりと混ぜてあるのだが、とにかくクリーミーでアロマティック。飲料というより食料、液体といより固体に近い感覚だ。しかしこれが一度飲んだらやみつきになる中毒性のある味。さらに衝撃的なのは「カフェ・シェケラート」で、なんと氷とエスプレッソを入れたシェーカーを専用の機械に入れると、これまたレトロな機械がガタピシと音を立てながら一杯一杯、一生懸命シェイクしてくれるのだ。そしてバリスタが自慢げに注いでくれるカフェ・シェケラートといえばこれまたあまたのクチーナ・クレアティーヴァが作成するスプーマ&アイレもびっくり、空気たっぷりの超絶クリーミーなテクスチャー。

トリノ、ナポリ、ヴェネツィア、フィレンツェとバールの名店は多いが、このサンテウスタキオは味もさることながらその時間の流れという観念を無視した圧倒的な空気感が必見。ローマでカフェを飲むならここ以外にない。

 

匡克 池田
About 匡克 池田 (1167 Articles)
1967年東京生まれ。イタリア国立ジャーナリスト協会会員、フォトジャーナリスト。日本で出版社勤務後独立、1998年よりフィレンツェ在住。「シチリア美食の王国へ」「イタリアの老舗料理店」「フィレンツェ美食散歩」「伝説のトラットリア、ガルガのクチーナ・エスプレッサ」など著書多数。2011年に池田愛美と株式会社オフィス・ロトンダ設立。国際料理コンテスト「Girotonno2014」「Cous Cous Fest2014」で日本人初の審査員となる。 http://www.office-rotonda.jp https://www.facebook.com/ikedamasa
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