Cous Cous Fest決勝、優勝はイタリア

サン・ヴィート・ロ・カポで行われたCous Cous Fest予選はその後フランスVsアメリカ(勝者フランス)、イスラエルVsレバノン(勝者レバノン)、パレスチナVsコートジボワール(勝者コートジボワール)、エリトリアVsイタリア(勝者イタリア)と続き、結局決勝は予選最高点を獲得した上位からイタリア、コートジボワール、チュニジアの3ケ国の間で行われることに。

特筆すべきはイタリアで、ホームアドバンテージがあるゆえにイタリアのみが6月に前哨戦ともいうべき国内予選が行われたのである。その決勝戦はフィレンツェEatalyにあるレストランDa Vinciのシェフ、エンリコ・パネーロとミラノのIl Libertyのシェフ、アンドレア・プロヴェンツァーニの間で行われ、アンドレアが優勝、本戦に出場したのであった。ちなみに準優勝だったエンリコ・パネーロがデモンストレーションで作った「クスクス・カンノーロ」は大会に参加したどのシェフよりも高い評価を得ていたのも事実である。

大会3日目、決勝戦に進んだ3チームはいずれも予選で作ったクスクスの完成度高めて、あるいは新機軸を打ち出して勝負に出た。1番は予選3位通過のチュニジア「クスクスのアランチーノ」。決勝ではエビの香りもなく、マルサラのリストレットをソースとして新たに使ったがこれがことごとく不評だった。この時点でまず優勝の目はなくなった。2位で通過したのはコートジボワール代表マンマ・アフリカの「コートジボワール風クスクス」。過去2回優勝している名物女性料理人マンマ・アフリカの作るクスクスは予選では見事なパンチでイタリアに次ぐ評価を集めたが、決勝では独特のスパイスが打ち出すアフリカならではのビート感が失速、優勝はかなりあやうい空気となった。そして最後に登場したのはアンドレア・プロヴェンツァーニ。ラッテ・ディ・マンドルラとピスタチオ、カッペリを使った甘塩っぱいクスクスは予選では賛否両論だったが、決勝当日は一夜で味付けを変更。高いレベルで味をまとめた完成度の高いクスクスとなり、大方の予想通り夜の表彰式でも審査員部門の最優秀クスクス=優勝を獲得。あまたのアフリカ勢を抑えて見事覇権を奪還したのだった。

大会の途中、議論となったのは甘口のデザート・クスクス、あるいはクリエイティヴ・クスクスとトラディショナル・クスクスを同じ土俵で評価していいのかどうか、ということだった。それはモロッコのデザート・クスクスが非常に高い評価を得たことから始まったのだが、あるいは「デザート・クスクス部門」「トラディショナル部門」「クリエイティヴ部門」と賞を分けてもいいのかもしれない。参加資格がある国はクスクスをソウルフードとしていること、が条件としてあるが「クリエイティヴ部門」があるのなら日本人の参加も十分にありえる。事実審査員として会場で「唯一母国が参加していない外国人審査員としては、来年日本チーズが参加するのを見たい」と発言したところ、会場はおおいに湧いた。シチリアのマグロを使ったスシ・クスクス、が果たしていいのかどうかは分からないが、イタリア人としては日本チームの参加を待っている、そのような空気感が満ちていた。求む、クスクスを得意とする日本人料理人。しかし自己プレゼンする程度のイタリア語力は必須である。

Masakatsu IKEDA
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池田匡克 Masakatsu IKEDA ジャーナリスト 1967 年東京生まれ。出版社勤務後1998 年イタリアに渡り独立。旅と料理のビジュアル・ノンフィクションを得意とし、イタリア語を駆使したインタビュー、取材、撮影、執筆、講演活動を日本、イタリア両国で行う。主な著書に「シチリア美食の王国へ」「イタリアの老舗料理店」「サルデーニャ!」「フィレンツェ美食散歩」「アマルフィとカプリ島」「Dolce!イタリアの郷土菓子」「世界一のレストラン オステリア・フランチェスカーナ」など多数。 2003年度「シチリア美食の王国へ」がイタリア文化向上に貢献した出版物に送られるマルコ・ポーロ賞(イタリア文化会館主宰) 最終候補作品にノミネート 2005年よりイタリア国立ジャーナリスト協会所属 2011年株式会社オフィス・ロトンダ設立。現在代表取締役 2014年日本初のイタリアの旅と料理をテーマにしたWEBマガジンSAPORITA設立。国際料理大会Girotonno、Cous Cous Festに日本人として初の審査員に選ばれる

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