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Giggetto@ROMAのユダヤ風アーティチョーク

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ローマの旧市街に老舗レストランは多い。しかしトレヴィの泉やパンテオン周辺がいい例だが、ローマの場合老舗イコールいい店という図式はまず成り立たない。長い歳月、紆余曲折を経て生き残って来たのだろうがあまりにツーリストに媚び、変化してしまった老舗が多すぎるのである。そんな時、ちょっと隠れ家風のトラットリアへ行くのならカンポ・ディ・フィオーリやテスタッチョ、トラステヴェレ、そして旧ユダヤ人居住区ゲットーにいくことにしている。

「ジッジェット Giggetto」はゲットーにある老舗トラットリアで創業は1923年。マルチェロ劇場の遺跡脇というローマ以外にありえない、すさまじいロケーションもさることながら、昔ながらのローマ料理がちゃんと食べられる希有な店である。現在のオーナー、チェッカレッリ・ファミリーになってから現当主クラウディオ(ローマ風にいうならクラウディウス!!)で3代目。なによりもこの店はローマ料理界のキラー・コンテンツ「ユダヤ風アーティチョーク Carciofo alla Giudia」で名高い。アーティチョークを素揚げにしたこの料理は、まさにこのローマのユダヤ人居住区で生まれ、16世紀の料理書にはすでに描写が見られるといわれる。アーティチョークといっても何でもよいのではなくローマ人が誇らしげに「ロマネスコ」と呼ぶチマローリ(もしくはマンモレ)種が最良。この料理出す店を出す店は多いが、その見た目の美しさでジッジェットに勝る店は無い。

からりと揚げたアーティチョークに塩をひとつまみはらりとふりかけ、揚げたてさくさくの萼にナイフを入れてやおら口に運ぶ。たらの芽、あるいはゴボウの天婦羅に通じるせつない味。ロマネスコは柔らかいので基本的には全部食べられるのだが、時折固い萼にあたることもある。これに冷たい白ワインの組み合わせは最高のアンティパストである。パスタはグアンチャーレを入れたグリーチャ。これはいわばアマトリチャーナのトマト抜きで、ペコリーノ・ロマーノと黒こしょうをたっぷりとかけて食べるのだが、濃厚きわまりない味。それでもローマにいると口びるがひりひりするくらい濃い味のパスタが食べたくなる。押しが強く、油っこく、時にしつこい。それは現代のローマ人そのものなのだろうが、数日ローマで食べ歩きを続けると、そうした一連のパスタを口にしないとローマが理解できないとさえ思えて来るのだ。

しめは羊のオーブン焼き、アバッキオ・アル・フォルノ。ローマでは羊とペコリーノを実によく食べる。ジッジェットのアバッキオは伝統的にアル・フォルノだが、アル・フォルノよりも背肉をグリル、あるいはフライパンで強火焼きした「スコッタディート」(指を焼く、という名のごとく手づかみで食べる)が一番美味しい子羊の食べ方だと思う。このスコッタディートが美味しいのはアグスタレッロ、アルマンド・アル・パンテオン、こちらは2日と空けずにまた食べたくなる。

“Carciofi alla Giudia Filetto di Baccalà
Di Roma ogni specialità
Pesce fresco in fede mia lo giuro e ci scommetto trovate solo da Giggetto”

http://www.giggetto.it

匡克 池田
About 匡克 池田 (1161 Articles)
1967年東京生まれ。イタリア国立ジャーナリスト協会会員、フォトジャーナリスト。日本で出版社勤務後独立、1998年よりフィレンツェ在住。「シチリア美食の王国へ」「イタリアの老舗料理店」「フィレンツェ美食散歩」「伝説のトラットリア、ガルガのクチーナ・エスプレッサ」など著書多数。2011年に池田愛美と株式会社オフィス・ロトンダ設立。国際料理コンテスト「Girotonno2014」「Cous Cous Fest2014」で日本人初の審査員となる。 http://www.office-rotonda.jp https://www.facebook.com/ikedamasa
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