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Bistrot Milano Centrale@Milano:駅食堂の最新形

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旅行客の絶えず行き交う空港や駅は、いつの時代も旅情をかき立て、どことなくロマン漂う場所である。ミラノ中央駅のホームに降り立ち、まっすぐに進むと、エスカレーターの向こうにバールや売店が並んでいる。その中で一際目を引くのがBistrot Milano Centraleである。ここはAutogrillが、昔の待合所を改装して作り上げた、いわゆる駅食堂である。Autogrillといえば、空港、高速道路、駅を専門とするイタリア最大のレストラン・サービス・チェーン。イタリアをある程度旅したことのある人なら、まず一度はどこかで利用したことがあるだろう。

R0011029駅食堂とはいっても、その造りは極めて現代的でお洒落。それもそのはず、ここは、スローフード協会を母体とし、食を専門に研究する世界初の大学、ピエモンテ州にある食科学大学(Università degli Studi di Scienze Gastronomiche)とのコラボレーションによって2013年に実現したプロジェクトの成果なのだ。それだけに、今の外食サービスのトレンド的要素をふんだんに含んでいる。

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まず入り口を入ると、イタリア各地から集められた「高品質」食品の販売スペースがあり、そのこだわりのセレクションは、高速道路等にあるAutogrillの従来店舗とは明らかに異なる。その先に、その場で焼き上げたパンで作るパニーノ、フォッカッチャ等を買って食べられるスペースがある。パンには天然酵母と地元ロンバルディア産の小麦が使用されている。その他、チーズ、ハム等、地元業者を中心に供給元を厳選し、お菓子に至っては、かのLuca Montersinoのレシピに従って作られるという凝りよう。コーヒーはCuccumaと呼ばれるナポリ式のコーヒーポットでまとめていれられるのが非常に特徴的。これにより、時間のない電車待ちの客にも素早く提供できるというメリットがある。ストリート・フードを目玉にしたコーナーを抜けたさらに奥には、もう少しゆったり座って食事できるスペースがあり、グラスワインやサーバーの地ビールを楽しむことができる。アペリティーボ(ハッピーアワー)も行っており、旅行客でなくとも利用価値がある。

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内装は、元の造りを生かしながら、今流行りのアングロ・サクソン系テイストのベーカリー・スタイルを取り入れ、クラシックとモダンを程よく融合させている。什器には廃材や古い家具を再利用し、現代的な形に修復することで、環境への配慮も忘れない。また、特に旅行客にはありがたいWifiは無料で開放されており、電源も配備、タブレットが固定されている席もいくつかあり、利用客への便宜が十分に図られている。駅の時刻表を映すモニターもあり、電車を乗り逃すこともない。中に入って食事をする時間のない人のため、入り口の横に持ち帰り専用のカウンターもあり、同様のパニーノを電車内で楽しむこともできる。

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ここで特筆すべきは、Autogrillのような一見スローフードとは相矛盾しそうな大資本が、ローカリティおよびその多様性の重視、持続可能性といったスローフードの重要なコンセプトを取り入れ始めていることである。これは、従来、大量生産、大量流通による規模の経済を追求してきた大企業が、もはやスローフードを無視できない現状を示唆している。食科学大学の学生の一人は、スローフード協会会長であり大学の設立者であるカルロ・ペトリーニを前に、とある会議で言った。”Siamo di moda!(我々は流行の最先端だ!)” 今年5月からミラノで開催される食をテーマにしたEXPOのまさに玄関口となるミラノ中央駅において、Bistrot Milano Centraleはさらに多くの人々の旅の中継地点となるであろう。

Bistrot Milano Centrale
Piano binari della Stazione Centrale di Milano,
Piazza Duca D’Aosta, Milano
tel. 02 67481995

About Soichiro Nakagawa (1 Articles)
美し国、三重県生まれ。現在、ミラノ在住。慶應義塾大学法学部を卒業後、大手電機メーカーにて海外営業・マーケティング職に従事。在職中、美食大国である伊、仏両国へ留学、駐在をした経験により、食への興味が開花。イタリアの食科学大学(Università degli Studi di Scienze Gastronomiche)大学院にてMaster in Food Culture and Communications: Media, Representations, and High-Quality Foodを修了。食、スローフードに関する旬な情報を、特にビジネスの視点からイタリアよりレポート。
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