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シラクーサで出会ったパニーノ・キング Borderi@Siracusa

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シラクーサ旧市街、オルティージャ島のアポロ神殿から北側には市場が広がっている。カターニアやパレルモに比べると規模は小さいけれども内容ははというとさすがシチリア。例によってカジキやマグロが並んだ魚屋から、様々な保存食を扱う乾物屋、色とりどりの野菜が並ぶ八百屋と、シチリアの市場を眺めて回るのはとても楽しい。エストラット・ディ・ポモドーリを買い、ポモドーリ・セッキを買い、松の実を買い、と例によってあちこちの店に立ち入りながら歩いていると、店先でパニーノを実演販売?している食料品店が目に留まった。すると店主ではなく、他の客が「これ食べるか?」とすすめてくれる。「え、いいんですか?」と絶対に断らない主義のわたしはリコッタを食べ、トリコッタを食べしていると今度はパニーノを作っている店主に声をかけられた。なんでもシチリアの食材を詰め込んだパニーノを作るから味見していけという。ずらりと並ぶ常連客はみなそのパニーノが出来上がるのを待っているというわけである。

この食料品店「ボルデリ」の店主アンドレアの向上を聞きつつ眺めていると自家製のカチョカヴァッロやモッツァレッラ、ポモドーリ・セッキ、プロシュート・コットなどにさらに野菜を加え、即興パニーノがあっという間に出来上がる。しかもこれを惜しげも無く1人4分の1ぐらいづつ食べさせてくれるのだからこれはもう味見ではなくて、ただ振る舞いである。しかもその熱弁がまた面白い。止まるところの無い口上はカリスマ肉屋ダリオ・チェッキーニを思わせ、その食材の組み合わせの妙は「パニーノ・キング」INOのアレッサンドロを超える。結局ただぶるまいに誘われて自家製のカチョカヴァッロ(レモン入り)を2kg買う。とにかく食べてもらって、それで気に入ったなら買ってもらう、という営業方針は成功しているようで、後日トリップアドバイザーを見てみたらシラクーサの飲食部門で1位にランキングされていた。シラクーサの市場を訪れるなら一度は必ず立ち寄りたい店。

www.caseificioborderi.it

 

Masakatsu Ikeda
About Masakatsu Ikeda (1148 Articles)
1967年東京生まれ。イタリア国立ジャーナリスト協会会員、フォトジャーナリスト。日本で出版社勤務後独立、1998年よりフィレンツェ在住。「シチリア美食の王国へ」「イタリアの老舗料理店」「フィレンツェ美食散歩」「伝説のトラットリア、ガルガのクチーナ・エスプレッサ」など著書多数。2011年に池田愛美と株式会社オフィス・ロトンダ設立。国際料理コンテスト「Girotonno2014」「Cous Cous Fest2014」で日本人初の審査員となる。 http://www.office-rotonda.jp https://www.facebook.com/ikedamasa
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