ニコ・ロミートが訴えるパスタの著作権

ここ数日イタリアのWEBメディアをにぎわせているのはミシュラン3つ星Realeのシェフ、Niko Romitoニコ・ロミートが訴えているパスタ盗作問題だ。ニコ・ロミートがいうには同じくミシュラン2つ星、ナポリ近郊にあるTaverna Estiaのシェフ、Francesco Spositoフランチェスコ・スポージトが自分のパスタを盗用したという。そのパスタとはエビのフェットゥチーネなのだが、写真はこちら。左がニコ・ロミートのパスタで右がフランチェスコ・スポージトのものだ。

ニコ・ロミートは「このパスタは2010年に発表したもので63度の低温調理でエビのアロマやエキスを引出しているが、その結果にいたるまで多くの作業を重ねた末に到達したもの。インスパイアされるのは大いに結構だが、その原典を示さないのは倫理上問題である」と2月26日にFacebookで発言した。

Facebook上では盗作者の名前はあげていなかったものの、瞬く間に「右のパスタを作ったのは誰だ?」と犯人?探しが始まり間もなくフランチェスコ・スポージトであることが判明した。そしてフランチェスコ・スポージトも同じくFacebookで反論したのである。以下原文はかなり長いので興味がある方は読んでいただきたいが簡単に要約すると「親愛なるシェフどの、世の中では人間はお互いに刺激を受けて存在している。(以下技術論なので略)ゆえにわたしこそがオリジナルである!!」という。

以前アラン・デュカスが料理にも著作権を認めるべきだ、と発言したことがあった。エル・ブリがあったころ、毎年春にフェラン・アドリアの新しいレシピが公開されると世界中であっという間に話題になり、模倣された。アルバのミシュラン3つ星、Piazza Duomoのシェフ、Enrico Crippaエンリコ・クリッパは日本滞在経験もある日本通だが、現在は日本人料理人を雇わないという。それはある日、エンリコ・クリッパのもとで働いていた日本人料理人がレシピをこっそり複写していているのを目撃したからだそうだ。SNSの発達のおかげもありイタリアのレストランでは以前ほど「NO FOTO=撮影禁止」と言われることはなくなったが、新たな問題として盛りつけ、プレゼンテーションの盗作が問題になっている。それは世界規模でいえることで、例えば日本のレストランでも、誰も分からないだろう、とイタリアの盛りつけを模倣したりしているといつかSNSで告発されることもありえる、かもしれない。しかし見た目は模倣できても味だけはそう簡単には模倣できない。いかにSNSが発達しようとこればかりは食べてみないとなんともいえないことである。

Masakatsu IKEDA
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池田匡克 Masakatsu IKEDA ジャーナリスト 1967 年東京生まれ。出版社勤務後1998 年イタリアに渡り独立。旅と料理のビジュアル・ノンフィクションを得意とし、イタリア語を駆使したインタビュー、取材、撮影、執筆、講演活動を日本、イタリア両国で行う。主な著書に「シチリア美食の王国へ」「イタリアの老舗料理店」「サルデーニャ!」「フィレンツェ美食散歩」「アマルフィとカプリ島」「Dolce!イタリアの郷土菓子」「世界一のレストラン オステリア・フランチェスカーナ」など多数。 2003年度「シチリア美食の王国へ」がイタリア文化向上に貢献した出版物に送られるマルコ・ポーロ賞(イタリア文化会館主宰) 最終候補作品にノミネート 2005年よりイタリア国立ジャーナリスト協会所属 2011年株式会社オフィス・ロトンダ設立。現在代表取締役 2014年日本初のイタリアの旅と料理をテーマにしたWEBマガジンSAPORITA設立。国際料理大会Girotonno、Cous Cous Festに日本人として初の審査員に選ばれる

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