ミシュラン東京2017、イタリア料理界の動きは?

去る2016年11月29日ミシュラン東京2017が発表され、イタリア料理に関しては以下の通り1つ星13件、ビブグルマン38件がオンリスト。しかし今年も3つ星はおろか、2つ星も誕生しなかった。ガンベロ・ロッソ誌Gambero Rossoの創設者である故ステファノ・ボニッリ Stafano Bonilliはかつて日本のイタリア料理界を評し「日本はもはやイタリア21番目の州だ」と言った。これは後にも先にもイタリア人料理評論家が日本を訪れ、日本のイタリア料理を口にして述べたコメントの中でも最高の褒め言葉だったと今も強く信じている。

今回1つ星を獲得した各レストランについて見回してみると、あの店も、そしてあの店もない。おそらくは日本よりもイタリア本国で高く評価されているイル・リストランテ・ルカ・ファンティン・ブルガリ Il Ristorante Luca Fantin Bvlgariのシェフ、ルカ・ファンティンLuca FantinはGambero Rossoが選ぶ海外のイタリア料理店中最高得点をマークしたというのにミシュランでは1つ星のまま。しかし香港には2012年以来3つ星をキープしているオット・エ・メッツォ・ボンバーナ Otto e Mezzo Bombanaのウンベルト・ボンバーナ Umberto Bombanaがいる。ボンバーナは現在イタリア国外で唯一3つ星を持つイタリア人シェフだが、日本でその名を知る人はほとんどいないだろう。仮にミシュランの評価を基準値とするならば、日本のイタリア料理は香港に劣ることになる。それは果たして真実なのか?下記1つ星店の13店はいずれも名店だと思うが、さらにいうならテアトリーノ・デル・サローネ、イル・プレージョ、そしてインカントは1つ星に値すると確信している。

現行のミシュラン日本版の態勢がいつまで続くのかは別にして、日本で初めてイタリア料理がミシュラン3つ星を獲得するとしたら、それは現在のところ日本人ではなくルカ・ファンティン以外ありえないと思う。食材に対する探究心、向上心、クリエイティヴィティ、頭脳の明晰さ、コミュニケーション能力、そして野心。あらゆる点でルカ・ファンティンを上回りそうな日本人シェフにはいまだ出会えていないが、ハインツ・ベックやアニー・フィオルデが外国人シェフでありながら本国イタリアで3つ星を獲得したように、ルカ・ファンティンに先んじて3つ星を獲得する日本人シェフが誕生することを心より願っている。

1つ星

ラ・プリムラ(白金)
レガーロ(初台)
アロマフレスカ(銀座)
ファロ(銀座)
カーザ・ヴィニタリア(麻布十番)
ダ・オルモ(神谷町)
ラッセ(目黒)
Honda(外苑前)
ピアットスズキ(麻布十番)
オストゥ(代々木上原)
イカロ(中目黒)
タクボ(代官山)
イル・リストランテ・ルカ・ファンティン・ブルガリ(銀座)

ビブ・グルマン

カンティーナ・シチリアーナ(銀座)
ツヅキ(自由が丘)
フレイズ・フェイマス・ピッツェリア(六本木)
イル・タンブレッロ(人形町)
シュリシュリ(外苑前)
ラ・コッチネッラ(表参道)
セレーノ(板橋)
ア・ミオ・アージョ(大泉学園)
アルベリーニ(神楽坂)
イ・ビスケロ(東陽町)
コルテジーア(表参道)
ルカナル(代々木上原)
イル・ペンティート(新宿)
ヴェンティノーヴェ(西荻)
スゥイートウォーター(小石川)
ラルテ(三軒茶屋)
ベント・エ・マーレ(武蔵小山)
ノード・ロッソ(八丁堀)
クチーナ・シゲ(住吉)
パラディーゾ(築地)
クオーレ・アズーロ(中目黒)
ケ・パッキア(麻布十番)
フィオレンツァ(京橋)
ラ・パスタイオーネ(麻布十番)
パーレンテッシ(三宿)
ペル・バッコ(中野)
コンチェルト(代々木上原)
ベッラ・ナポリ(門前仲町)
ラ・ピッコラ・ターヴォラ(方南町)
ロベルト(神保町)
ラ・ブリアンツァ(麻布十番)
マルテ(中目黒)
トゥットベーネ(築地)
ベッリターリア(目黒)
コルニーチェ(自由が丘)
バッチョーネ(中目黒)
ラ・ベットラ・ダ・オチアイ(銀座)
ルナ・エ・ドルチェ(金町)