San Pellegrino Young Chef Contest 2016その1〜予選

2016年10月13日から15日まで3日間に渡りミラノで開催されたのが「サン・ペレグリーノ・ヤング・シェフ・コンテスト」だ。これは世界各地域の予選を勝ち抜いた30才以下の若手料理人20人が一同に介し世界一を競う大会であり、将来のスターシェフ候補生を発掘し、またガストロノミーの新潮流を占う意味でも重要なイベント。出場選手はじめメンターと呼ばれるコーチ役、そして7人の審査員と世界中からトップシェフが集まり、この時期ミラノは世界におけるガストロノミーの首都となったのだ。

日本予選を勝ち抜いて本大会に進んだのは古屋聖良さん。そしてメンターをつとめるのが日本地区予選の審査員を務めた成澤由浩シェフだ。「サン・ペレグリーノ・ヤング・シェフ・コンテスト」において重要なのがこのメンターというシステムで「顧問、相談役」という意味。このメンターの顔ぶれが実にゴーシャスなのだ。日本代表チームの成澤シェフをはじめスペイン代表チーム「ムガリッツ」のアンドニ・ルイス・アドゥリスがメンター。アメリカ代表チームのメンターはWorld 50 Bestの2016年最優秀女性シェフ、「アトリエ・クレン」のドミニク・クレンなどなど、各国を代表するトップシェフたちがメンターを務める。メンターはコーチ役としてヤングシェフにアドバイスをし、ともに戦略を練るが直接の調理はできないことになっている。

最初の2日間は10人ずつ、6時間の調理時間が与えられ審査員による試食が行われる。そして上位3人のみが最終日の決勝に進み、再度同じ料理を作ってその完成度を競い、世界一が決まることになる。

各国伝統料理の再解釈やあらたな食材の発掘、異文化の吸収など、ヤングシェフたちが作るそれぞれのシグニチャー・ディッシュはその国の最先端料理を表現しているといっても過言ではない。DASHIやUMAMIといった日本語を使うのはもはや当たり前。結局大会を制したのは自ら「ガストロノミーの歴史が浅いゆえになんでもできる」と話したアメリカ代表のミッチ・リーンハード。料理旧大国から新興国へと、ガストロノミーの潮流は確実に流れているのが見えるようだった。