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マッシモ・ボットゥーラの48時間その2

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World 50 Best世界一に輝くイタリア・モデナの「オステリア・フランチェスカーナ」シェフ、マッシモ・ボットゥーラが来日。1日限定のスペシャルな料理セミナーが開催された。その迫力あるトークとデモンストレーションは日本中からこの日のために集まった料理関係者を熱狂させた。

去る3月21日、代々木の服部栄養専門学校に現れたのはWorld 50 Best世界一、イタリアの「オステリア・オステリア・フランチェスカーナ」シェフ、マッシモ・ボットゥーラだ。今回イタリア・サルーム普及促進協会の主宰で、マッシモ・ボットゥーラによる料理セミナーが開催された。これまでコラボ・ディナーなどでの来日経験はあるものの、日本での本格的な料理セミナーは初めて。午前午後の2回に分けて行われたセミナーはそれぞれ予定人数を大幅に超過。現代イタリア料理界のカリスマの技術とひと目見ようと、日本全国から料理関係者が集まった。

前日羽田空港に降り立ったボットゥーラを空港で迎えて以来、離日するまでの滞在時間は48時間未満。まさにこのセミナーのためだけに来日したボットゥーラの本気振りが伺える。当日朝、会場に現れたボットゥーラはややナーバスな様子で「この原稿でいいと思うか?」「この表現、日本人に伝わるかな?」と何度も質問を繰り返しては原稿に赤を入れる。エレベーターホール前に置かれた小さなテーブルで頭を抱えるボットゥーラ氏の姿を見つけ友人のルカ・ファンティンが優しく激励する姿が印象的だった。

しかしセミナーが始まるとその姿は一変。徐々に熱を帯びるそのトークは一言一言が来場者の胸に響いた。事前にボットゥーラの持ち時間を最大限いかすため日本語に同時通訳する、とは決めていたものの直前まで原稿を訂正した結果、結局は打ち合わせ無しで臨んだ本番。それでもボットゥーラのエネルギーから多くの名言が生まれた。

「つまずきこそが成功への近道」「日常の仕事に埋没するな」「日々なにか新しいことにチャレンジしろ」「昔のレシピは郷愁ではなく批判のまなざしで見つめろ」「直感は大切だが思いつきの料理は偶然の産物だ」「レシピはいらない、頭を使え」「喜びはチームで分かち合え」などなど、料理技術というよりはボットゥーラの哲学や思考プロセスを体験するセミナーだった。

横で通訳していたわたし自身最も感動したのは最後に登場した「料理人にとって最良の食材とは頭の中にある」という言葉。考え方が全てを変えるという、ボットゥーラ氏が普段実践し、多くの批判や挫折にもめげずに自分の料理の世界を追求して来た、その思考の秘密を表現するのに最適の言葉だった。

今回日本で特別にデモンストレーションが行われた
マッシモ・ボットゥーラの3つの代表作

今回はイタリア・サルーミ普及促進協会の後援のもと、特別にイタリアのサルーミを使った料理3品の調理と試食が行われた。地元食材への限りないリスペクトを語るボットゥーラならではの料理だった。

「モデナからミランドラへ」
コテキーノ発祥の地ミランドラと地元モデナへの郷土愛に満ちた料理。郷土菓子スブリソローナとランブルスコで蒸したコテキーノ、同じくランブルスコを使ったザバオーネで甘味と塩味のコントラストを活かしている。

「モルタデッラのパニーノの思い出」
10年以上メニューを飾るボットゥーラ氏の代表作のひとつ。モルタデッラの水分を抽出してスプーマにし、豚の脂チッチョリの粉末を加えたニョッコとともに食べる。イタリア人なら誰もが郷愁をそそられる思い出の味。


「エミリア・バーガー」

ニューヨークで発表したさい、交通渋滞が起きて大変だったというボットゥーラ流のハンバーガー。スペックを加えたハンバーグにバルサミコ・マヨネーズとサルサ・ヴェルデで食べる遊び心あるストリートフード。

 

 

Masakatsu Ikeda
About Masakatsu Ikeda (1148 Articles)
1967年東京生まれ。イタリア国立ジャーナリスト協会会員、フォトジャーナリスト。日本で出版社勤務後独立、1998年よりフィレンツェ在住。「シチリア美食の王国へ」「イタリアの老舗料理店」「フィレンツェ美食散歩」「伝説のトラットリア、ガルガのクチーナ・エスプレッサ」など著書多数。2011年に池田愛美と株式会社オフィス・ロトンダ設立。国際料理コンテスト「Girotonno2014」「Cous Cous Fest2014」で日本人初の審査員となる。 http://www.office-rotonda.jp https://www.facebook.com/ikedamasa
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