「Sardegna!」Count Downその1

「サルデーニャ!」発売直前情報として「カウントダウン10番勝負」と題し、内容に準じた話を10本ばかり書くことにいたしました。ついでに発売前ですが写真も一部公開いたします。約1ケ月に渡る短期(長期?)連載ですがおつきあいいただければ幸甚に存じます。

サルデーニャ西海岸、かつてアルボレア公国の首都だったオリスターノの外れにカブラスという小さな町があります。小さな町、とはいえイタリア料理ラバーならぴんとくるはず。そうここはボラのカラスミ、ボッタルガの聖地であります。紀元前にフェニキア人がサルデーニャに持ち込んだとされるボッタルガの製法はいまも現地で頑にまもられていて、町のメインストリート、コルソ・イタリアには「ボッタルガ」という看板をかかげた店が何軒か並んでいます。

その一件にふらりと入り、さらにふらりとボッタルガ作りの様子を見せてもらう。ボッタルガを数種味見した後例によって数腹買い込み、ついでに瓶詰めも幾つか。蛇足ながらこの瓶詰めのひとつ「カルチューガ」というのがアチェート好きの私にはたまらない味でございました。これはその名の通りカルチョーフィ(サルディ)とアッチューガ、つまりアンチョビを軽くフルッラーレしてアチェートでしめたような保存食。これがパンと白ワインによくあい、しばらく我が家でマイブームとなりました。手を抜くなら市販の酢漬けのカルチョーフィとアンチョビでもよさそうな。しかしアチェートだけはいいものを。

で、話は戻りますがそのボッタルガ屋の娘モニカに「この辺でどこか美味しい店ありませんか?」とたずねたところさすが食に携わる地元の女、すぐさま教えてくれたのが「チルコロ・イル・マーレ・ディンヴェルノ」でありました。本来チルコロというのは営業許可の関係でリストランテの名は掲げられないけれど会員制ということで料理を出す店。でも大抵会員ではない一見の旅人でも普通に食事ができるのが普通です。

この店が大当たりでして以後私たちは「サルデーニャのアンティカ・マリーナ」と呼び、翌年にもう一度行き、またしても素晴らしい午餐に恵まれました。例によってメニュー無しの口頭試問形式で、前菜はおまかせ。するとまもなく小皿前菜がどどどどんと7〜8品運ばれて来て、一件単純に見えるけれども実は全て小技が聞いているという達人芸。「本日のパスタは●●●▲▲▲×××・・・」というので2種もらい、別皿ですりおろしボッタルガも注文。サルデーニャはおしなべてパンチがもうひとつの店が多かったけれどこの店は細麺スパゲッティーニの潜在能力を見事にいかしきっていました。しかも驚くべきはお勘定!!。アンティカ・マリーナの半分以下でありました。ああ、また行きたい。イタリアで魚介料理を食べるなら?と問われて即座に脳裏に浮かぶ店は一見多そうで実はそう多くない。1にアンティカ・マリーナ(カターニア)2にダ・ヴィットリオ(メンフィ=ともにシチリア)3、4は?で5にイル・マーレ・ディンヴェルノか?