フィレンツェ美食散歩00 はじめに(無料公開)

住み慣れた東京を離れ、フィレンツェに暮らすようになって早十年あまり。以来イタリア中を取材で飛び回る日々が続いていますが、それでもフィレンツェに帰って来るとなぜかホッとするのは、単純に自分が住む街だからというだけではなく、ルネサンスが生まれた人間サイズの美しい街であり、何よりイタリア広しといえど他のどの地方よりも食べ物がおいしいからなのだと思います。

おいしい料理求めてシチリアをさまようこともサルデーニャの山奥を食べ歩くこともありますが、それでもフィレンツェに戻り、いつものトラットリアの片隅でいつもの料理を口に運ぶとほっとします。

それは恐らくフィレンツェで日常食べられるトスカーナ料理は別名クチーナ・ポーヴェラ(質素な料理)と呼ばれることからも分かるように、その本質は極めてシンプルで素朴な料理だからなのでしょう。

本書において私たちが日常通うフィレンツェの飲食店をリストアップしてみたところ、結果的に食堂、立ち飲み、立ち食い系が多くなりましたが、そうした市井の人々が愛する素にして簡なソウル・フードにこそトスカーナ料理の真実が隠されているような気がしてなりません。旬の食材、名物料理を訪ねてフィレンツェを食べ歩く、おいしい散歩へいざ。

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Masakatsu IKEDA
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池田匡克 Masakatsu IKEDA ジャーナリスト 1967 年東京生まれ。出版社勤務後1998 年イタリアに渡り独立。旅と料理のビジュアル・ノンフィクションを得意とし、イタリア語を駆使したインタビュー、取材、撮影、執筆、講演活動を日本、イタリア両国で行う。主な著書に「シチリア美食の王国へ」「イタリアの老舗料理店」「サルデーニャ!」「フィレンツェ美食散歩」「アマルフィとカプリ島」「Dolce!イタリアの郷土菓子」「世界一のレストラン オステリア・フランチェスカーナ」など多数。2005年よりイタリア国立ジャーナリスト協会所属。株式会社オフィス・ロトンダ代表取締役。2014年国際料理大会Girotonno、Cous Cous Festに日本人として初の審査員に選ばれる。2016年レポーター・デル・グスト賞受賞。