イタリア菓子伝番外編 アントニオ・マッテイのミュージアムショップ、オープン

フィレンツェの隣町、プラートに創業して今年で160周年を迎えた老舗菓子店「Antonio Mattei」のミュージアムショップがフィレンツェ旧市街にオープンした。3月からたっぷり2ヶ月の準備期間を費やしたそこは、こぢんまりとしたスペースで、手前がショップ、数段上がった奥にミュージアムという構成。ミュージアムの展示物は、創業者一族や工房の写真、年表、そしてお菓子好きにはたまらないパッケージの今昔実物。ビスコッティをカットする専用のナイフはその独特のフォルムが想像力を掻き立てる。

ショップでは、おなじみのビスコッティ(青袋=アーモンド、赤袋=チョコチャンク、緑袋=ピスタチオ)がぎっしりと壁面に並んで主役を張り、缶入りやミニ帽子箱入りが脇を固める。ガラスケースの中には毎日プラートから届けられる鮮度第一のお菓子が鎮座。これまでプラートの本店に行かなければ買えなかったトルタ・マントヴァーナ、フィローネ・カンディート、カントゥッチ・アッラニチェ、パン・ディ・ラメリーノ、ブリオッシュ、ブルッティボーニなどが勢ぞろいしている。

店内に椅子やテーブルはないが(そんなものを置くスペースがない)、食べることも可能。味見(有料)して気に入ったら購入できるわけだ。ビスコッティにつきもののヴィンサント(Santa Cristina社)のほか、ワインも数種類ある。そして、ぜひ試して見たいのが、チョコレートコーティングのひと口アイスで有名なDaiDaiとコラボしたビスコッティ&アイス。レストランでしか食べられなかった幻のドルチェだ。

 

Antonio Mattei

Via Porta Rossa, 76r Firenze

トルタ・マントヴァーナ。材料はバター、卵、粉、砂糖、表面にアーモンド。1875年、ローマへの巡礼の旅でマンドヴァからやってきた二人の修道女が宿のお礼にと教えたレシピをもとにしている。
フィローネ・カンディート。1930年代に誕生。ブリオッシュの生地にうっすらとジャムを塗り、チェリーの砂糖漬けを散らして巻いた上にマジパンとアーモンドをあしらって焼いたもの。パン生地の素朴な風味に痺れるほど甘いチェリーの組み合わせは現代菓子にはないキッチュな味覚。
パン・ディ・ラメリーノ。パン生地にパンテッレリア産ズィビッボのレーズン、EVオリーブオイル、ローズマリーを加えた伝統のおやつパン。モルタデッラと合わせてドルチェ&サラートを味わう。
カントゥッチ・アッラニチェ。1800年代はこれが正統なカントゥッチで、やがてアーモンド入りのビスコッティに取って代わられた。アニスシード入りのさっくりとしたほんのり甘いパン。ペコリーノチーズとともに。
「アントニオ・マッテイ」のビスコッティ・ディ・プラートは、粉、砂糖、卵、プーリア産アーモンド、トスカーナ海岸の松の実が材料。ほろほろとした軽い食感が特徴。画像はピスタチオ入り。