ミラノを代表するクリエイティヴ「Berton ベルトン」

「マルケジーニ」という言葉がある。これはイタリア料理界に史上初めてミシュラン3つ星をもたらした巨匠グアルティエロ・マルケージの弟子たち、という意味で「マルケージ・チルドレン」と置き換えてもいい。マルケージの元でシェフ、スーシェフを務めた実力者たちは90年代後半から次々に独立。このアンドレア・ベルトンはじめカルロ・クラッコ、エンリコ・クリッパ、ダヴィデ・オルダーニ、パオロ・ロプリオーレといった現代イタリアを代表する料理人たちはことごとくマルケージ出身で、もはやチルドレンとは呼べないトップシェフとしてイタリア料理界に君臨している。その筆頭格がこのアンドレア・ベルトンだ。

ベルトンを初めて取材したのは2002年、フランチャコルタにあった「マルケージ・アルベレータ」での撮影だった。当時シェフを務めていたのが長身のアンドレア・ベルトンで、例の黄金のリゾットなど多くの料理を撮影用に作ってくれた。その後マルケージの元を辞してからというもの、ミラノにオープンした「トラサルディ・アッラ・スカラ」のシェフに就任しミシュラン1つ星を獲得。そして自らの名を冠した「Berton ベルトン」をオープンしこちらも現在ミシュラン1つ星。同じくミラノで活躍するカルロ・クラッコと並び、ミラノのトップシェフとしてその名声を揺るぎないものにしている。

「ベルトン」の料理は自ら「クチーナ・コンテンポラネア」と呼ぶだけあって時代を反映したコンテンポラリーなものとなっている。2016年版でいうならばキーワードはミニマリズムとブロード。特に後者は「パスタ・イン・ブロード」など多くの場面で登場し、ベルトンの代名詞的存在となりつつある。ある日の料理はこうだった。前菜はモザイクのような「子牛のトリッパ、タマネギのクレマとコリアンダー風味の青リンゴのコンポスト」、パスタはトマトのブロードを直前にかけて食べる「炭火焼ダッテリーニ・クリームのコンキリエ」でトマトの酸味をブロードとクレマ、2種類のテクスチャーで仕上げ口中でトマトソースが完成するという仕掛け。セコンドは「メルルーサのロースト、ジャガイモのピューレ、イタリアン・パセリのパンとラディッシュ添え、プロシュートのブロードとともに」。これもブロード・コースに含まれる料理で生ハムのブロードを鱈とともに味わう料理。旨味のブロードをソースにする手法はベルトンの真骨頂だ。そしてデザートはこれもベルトンのアイコン的料理で「タマゴ Uovo」。ホワイトチョコレートでできた卵の殻を割ると中から白身に見立てたヨーグルトムースと黄身に見立てたマンゴークリームが流れ出す遊び心あふれるデザートだ。いま現在ミラノで行くべきリストランテを3件あげるなら「TOKUYOSHI」「ALICE」そしてこの「Berton」を選ぶ。

Viale della Liberazione,13 MILANO
Tel02-67075801
12:30〜14:30、20:00〜22:30 日、月昼休
ランチ、ディナーともにコース120ユーロ

www.ristoranteberton.com

 

About Manami Ikeda 399 Articles
池田愛美 Manami IKEDA ジャーナリスト、コーディネーター 出版社に女性誌編集者として勤務後、1998年イタリアに渡る。旅と料理の分野でインタビュー、取材、撮影、執筆、講演活動を日本、イタリア両国で行う。主な著書に「シチリア美食の王国へ」「サルデーニャ!」「フィレンツェ美食散歩」「ローマ美食散歩」「アマルフィとカプリ島」「伝説のトラットリア・ガルガのクチーナ・エスプレッサ」「Dolce!イタリアの郷土菓子」「極旨パスタ」「最新版ウイーンの優雅なカフェ&お菓子」など多数。

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