反ストリートフード条例可決、フィレンツェではパニーノ立ち食い禁止に

この度、フィレンツェ市議会で「立ち食い」を禁止する条例が可決された。とはいえ、これは一定の地域内のみ有効な条例で、正確には以下のゾーンが該当する。

Via dei Neri, Piazzale degli Uffizi, Piazza del Grano e Via della Ninnaにおいて12時から15時、18時から22時の間、歩道を含む上記ゾーンでは路上で食品を立ったまま、あるいは座ったまま、あるいは店舗や住宅によりかかって食べるのは禁止。取り締まりは市警察で違反者には150ユーロから500ユーロ(19500円〜65000円)の罰金。事業者も店頭にその旨明確に表示する義務がある。

“Via dei Neri, Piazzale degli Uffizi, Piazza del Grano e Via della Ninna”とはつまり、ネーリ通りからヴェッキオ宮脇を通り、ウフィッツィ美術館前までの以下のゾーンのことだ。

つまりこれは近年ネーリ通りの交通を遮断するまでに増えたパニーノ立ち食い、座り客に業を煮やしたフィレンツェ市がようやく条例を制定したということなのだが、その原因はネーリ通りの「Antico Vinaio アンティコ・ヴィナイオ」にあることは一目瞭然だ。同店は一時期Trip Advisorでフィレンツェ1位となったばかりか、投稿数世界一になったこともある。これは2014年10月22日の記事だが、ご興味あるかたはご覧いただきたい。

なぜアンティコ・ヴィナイオがここまで人気店になったか、というよりもなぜこれほどまで誰もがストリートフード=立ち食い、座り食いするようになったのか?を考えるとやはり外食費削減の方向でレストランにいくよりも切り売りピッツァ、あるいはパニーノを立ち食いすることを選択するようになったことがある。アンティコ・ヴィナイオはこの大ブレイクで同通りに数店舗展開、もはやネーリ通りは歩くのはもちろん、車まで通行に問題をきたすほどになっていたのだ。しかも、こうした立ち食い客が向かうのはチェントロ、いわゆる中心部方向なのでオープンエアの美術館とも呼ばれるシニョリーア広場からウフィッツィ美術館までのゾーンを禁止したのだろう。立ち食いすることで景観を損なうのはもちろん、そのゴミを路上に放置するのも問題となっているし、周辺住民や店舗からはかなりの苦情があったことは想像するに難くない。

ここで一度考えてみたいのは、上記ゾーン内にはフィレンツェ伝統のランプレドットやトリッパを売る屋台は無いことだ。ランプレドット、トリッパもフィレンツェ伝統のストリートフードだがあらためてみてみると屋台とはいえ椅子もゴミ箱も完備しているし、そもそもが地元の男たちが好んで通う屋台なので観光客が殺到することはあまりない。ちなみに以下の写真はアンティコ・ヴィナイオのパニーノと、屋台のランプレドットだ。どちらを選ぶか、であなたのイタリア料理に関する嗜好がかなりはっきりするはずだ。

Masakatsu IKEDA
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池田匡克 Masakatsu IKEDA ジャーナリスト 1967 年東京生まれ。出版社勤務後1998 年イタリアに渡り独立。旅と料理のビジュアル・ノンフィクションを得意とし、イタリア語を駆使したインタビュー、取材、撮影、執筆、講演活動を日本、イタリア両国で行う。主な著書に「シチリア美食の王国へ」「イタリアの老舗料理店」「サルデーニャ!」「フィレンツェ美食散歩」「アマルフィとカプリ島」「Dolce!イタリアの郷土菓子」「世界一のレストラン オステリア・フランチェスカーナ」など多数。2005年よりイタリア国立ジャーナリスト協会所属。株式会社オフィス・ロトンダ代表取締役。2014年国際料理大会Girotonno、Cous Cous Festに日本人として初の審査員に選ばれる。2016年レポーター・デル・グスト賞受賞。