アブルッツォ州がワインツーリズムに乗り出した

2019年はモンテプルチアーノ・ダブルッツォ Montepulciano d’Abruzzo DOC制定50周年にあたることから、アブルッツォ州ではワイン、料理、観光を組み合わせてツーリズムを誘致する、ワインツーリズム戦略に取り組んでいる。その第一弾として先日ヴェローナで開催されたVinitalyで記者会見が行われた。登壇したのはアブルッツォ・ワイン生産者組合長ヴァレンティーノ・ディ・カンプリ Valentino di Campli、「Montepulciano d’Abruzzo」の著者であるジャーナリスト、ジョルジョ・ドラツィオ Giorgio d’Orazio、そしてアブルッツォ・ワイン界のカリスマ、エミディオ・ペペ Emidio Pepe。

アブルッツォでのワイン生産は古く、すでに古代ローマ時代の大プリニウスが「博物誌」の中でも触れており、以来2000年間かけてワイン生産は州全体へと広まった。現在の総作付面積32,000ha、年間生産量3500万ヘクトリットルのうち約80%がアブルッツォ州の代名詞的存在であるモンテルプルチアーノ・ダブルッツォだ。2018年の統計ではヨーロッパ圏内での売り上げ増がめざましく、イギリスはなんと対前年比+34%のほかオランダ、スイスで+20%以上とちょっとしたアブルッツォ・ワイン・ブームが起きている。またアジアに目を移して見ると中国が+22%と顕著で以下ベトナムが続くが日本においては顕著な動きはそれほど見られていない。というような事情を反映してか、この5月にアブルッツォ・ワイン生産者組合が主催し、日本のジャーナリストを招待してアブルッツォ州のワイナリーと料理を視察、体験するエクスクルーシブなプレスツアーが組まれることになり、SAPORITA代表としてわたしも招待されている。

これはキエティ、テラモ、ペスカーラ各県のワイナリーを周り、トラボッキなどアドリア海沿岸の伝統的漁法から内陸部の手打ちパスタ、キタッラの生産現場や伝統料理、そしてまだあまり知られていないアブルッツォの歴史的建造物などを見て回る予定だ。訪問予定ワイナリーはMasciarelli, Di Sipio, Il Feuduccio, Emidio Pepe, Citra, Cantina Tollo, Fontefico, Sergio del Casale, Zaccagnini, Ciavolich, Contesa, Torre dei Beati, Tenuta I Fauriなどなど。

また、アブルッツォ・ワイン生産者組はワイン生産地をめぐる12の旅程を新たに提案。近日中に専用アプリも公開予定など、モンテプルチアーノ・ダブルッツォDOC制定50周年を期に、観光誘致に非常に力を入れている。エミディ・ペペやジョルジョ・ドラツィオらと旅するアブルッツォの模様は5月にSAPORITAで公開予定なのでこちらもお楽しみに。