インスブルックで見たもの

東京のホテルで、中国で国賓をもてなす彼の地の料理人を招き、東京に観光でやってくる中国人旅行者に”宮廷料理”を提供するサービスを開始すると喧伝していました。一方で日本政府は中国に日本の観光業者が参入できるよう要請しているそうですが、果たしてどこまで理解してそのような要求をしているのでしょうか。

基本的に、中国人はどこへ行っても自国の料理を所望することは、ここイタリアでも観光&レストラン業界では周知の事実であり、たまさかイタリア料理店に中国人団体が入っていてもそこは中国人経営だったりして、中国人旅行者がどんなに増えようとも受け入れ国側はなかなかその恩恵に与れないというのが現実であります。

そこを穿って、あえて和食ではなく中国のそれも宮廷料理で、普通の人には食べられないという付加価値をもってして宝の山を発掘しようということであれば、なかなか勇気ある行為であると思います。それも国の先導ではなく民間発ということですから、後には引けない、相当な覚悟で望んでいるのでしょう。でも、日本独自の食文化を培ってきたという矜持は、何処に?

この国にいると、そこまで威張らなくても...としばしば思うほど、イタリア人はイタリア料理に誇りを持っています。それに正直呆れることもありますが、(儲かるのであれば)なんでもアリ、というのもちょっとなんだか寂しいですね。

先だって訪れたオーストリアはインスブルックで、なぜだかあちらこちらで中国からのツアーに遭遇したのを、ふと思い出しました。彼らは街は歩いていましたが、レストランで食事をしているのを目撃することはありませんでした。でも、足をのばしたリヒテンシュタインでは、カフェにいる姿も見かけました。なぜ、こんな小さな国にこんなにいるのか、とちょっとびっくり。タックス・ヘイブンでのショッピングが最大の目的なんだろうな、とは思いましたが。

国境での我々二人だけの入国時チェックはなかなか厳しかったことからも、団体での買い物旅行は既定路線、個人旅行はお金洗浄、有価証券の移動などを疑ってかかれ、とマニュアルにあるのでしょうか。

さて。インスブルックの市庁舎ギャラリー7階にあるレストランは、街の中心でしかも周りに高い建物がほとんどないという好立地。鐘楼の向こうに山並みが望めます。メニューの品数は多くはありませんが、単品でも組み合わせても良く(コース仕立てにすればデザート含めてだいたい40ユーロとお得)、イタリア料理をはじめとして各国料理のいいとこどりですが、どれも味のバランスがとれています。インスブルックにお越しの際はぜひお試しを。mnm


About Manami Ikeda 397 Articles
池田愛美 Manami IKEDA ジャーナリスト、コーディネーター 出版社に女性誌編集者として勤務後、1998年イタリアに渡る。旅と料理の分野でインタビュー、取材、撮影、執筆、講演活動を日本、イタリア両国で行う。主な著書に「シチリア美食の王国へ」「サルデーニャ!」「フィレンツェ美食散歩」「ローマ美食散歩」「アマルフィとカプリ島」「伝説のトラットリア・ガルガのクチーナ・エスプレッサ」「Dolce!イタリアの郷土菓子」「極旨パスタ」「最新版ウイーンの優雅なカフェ&お菓子」など多数。

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