雨ですねぇ…週間食卓日記@Molise&Firenze

11月某日
篠突く雨の中、数ヶ月前からの約束を果たす為にウンブリアへ。でもその前にもしかして既にパネットーネ製造が始まっているかもしれないとプラートのパスティッチェリア・マンノーリを訪問。然し乍ら、今年は人出確保に手間取って未だ開始せずとのこと。あのバターたっぷり、しっとりパネットーネが待ち遠しい...名物チョコレートケーキsetteveliをカプチーノと一緒に賞味して退店。
A1では雨の上に事故渋滞に巻き込まれ、予定時間に少し遅れて目的地のフラントイオに到着。そこでは例年より2週間も早く10月6日にオリーブ収穫を開始し、周辺の年寄農民たちから「頭おかしいんじゃないか」と言われつつもその試みが間違いではなかったと胸を張るオーナー恒例のマシンガントークに、あぁ今年も秋が深まったなぁとしみじみ。ウンブリアはこの時期毎週末フラントイオ・アペルトと称して、一般人の訪問を歓迎しています。トスカーナでもやるといいのに。

昼食は軽く出来合いパニーノですませたので夕方には空腹は最高潮。A先生の自宅にお邪魔し、いのししのサラミ、レモンやオレガノを効かせたオリーヴの漬け物、サルシッチャとひよこ豆と野菜色々をプーリアのテラコッタ鍋でことこと煮たズッパ、フラントイオでもらった新オイルのフェットゥンタ、暖炉の熾き火で焼いた牛フィレとランプ肉の夕食をご馳走になりました。フェットゥンタは、焙ったパンににんにくをこすりつけ、新オイルをたっぷりとかけます。かけるというよりは浸すに近い感じがポイントです。

11月某日
ローマ上京、日本からのお客さんと一緒にモリーゼ州へ。イタリアで一番最後に州として独立したモリーゼ(それまではアブルッツォのおまけ的存在でした)は、今までに全く縁がなかった土地。山勝ちな小さな州は観光資源のほとんどがその大自然という、日本のメディア的にはあまりアピールしないところなのですが、素朴でのんびりした良いところです。
ローマから約3時間で目的地に到着。標高840m、人口5500人ほどのその町に千年の歴史を誇る企業があるのです。イタリア典型の家族経営で、そのほとんどが同じパスクアーレという名前で、話をしていると「で、そのパスクアーレはどのパスクアーレ?」と混乱してきます。ご本人達はそんなことないんでしょうか。
打ち合わせが押して、昼食難民になりそうだったので目についたお店に飛び込み入店。一見しょぼくれたトラットリア・ピッツェリア・バールでしたが、扉を開けると地元民でほぼ満席。仕事の合間的一人客も多く、黙々と食べているのでうるさくありません。カメリエーラのお姉さんただ一人がくるくると店内を回っています。あまりに忙しいのか、お姉さんは「何食べますか?」とメニューも出さずに詰問。何がありますか?と聞くと、「前菜、プリモ、セコンド」と素っ気ない回答。う〜ん、じゃ、前菜はなしでプリモを、と言うと、「あれとそれとこれとこんなのがあります」と。なんだ、いろいろあるじゃん。考えた末にsagne a tacconeのトマトソースを注文。幅広の手打ち麺を適当に切ったマルタリアーティ状のパスタは適度な厚みがあってつるんとしていて大変美味しゅうございました。ワインはノヴェッロを頼んだらトスカーナのが出てきちゃって、肩すかしでしたが。
夜はホテルのレストランで、opicaという葉野菜を入れたリゾット。チーズ大量投入で胃袋への負担が...

11月某日
引き続き、モリーゼ山の上の町にて取材。今日中にローマに戻り、フィレンツェへと移動しなければならなかったので、昼食は迷うことなく昨日と同じ店へ。すると、きのうのお姉さんはにっこり笑って席を指示し、メニューを渡してくれました。2度目からは顧客として認められるってことでしょうか。時間がないので一品のみ、サルシッチャのグリルを選択。粗挽きの、しっかりとした歯ごたえのじわっと豚の旨味がにじみ出る、とても美味しいサルシッチャでありました。
ローマ経由フィレンツェに到着、500キロ弱の移動の後は思考力も低下しているので、頭を使わなくてすむガルガヘ。spaghetti al carciofo crudo、lombata alla griglia、insalata di rucola e pomodoro。ハウスワイン1L、グラッパ。

11月某日
モリーゼの後半は好天に恵まれたのですが、フィレンツェは小雨模様。11月らしい正しい天候とはいえ、やっぱり気は滅入りますね。朝からみっちり取材で頭フル回転、昼時には放心状態。気分を変えたいという要望にお答えして漢宮飯店へ。春巻、麻婆豆腐、チンゲンサイ炒め、海鮮チャーハン。海鮮なのに、かにカマが入っていることにお客さん軽く衝撃を受けていました。
夜もやはり軽くしたいということだったので、vinaino。sott’oli della nonna、bruschetta con pomodoro、insalata mista、trippa alla fiorentina。全部いっぺんに持ってきてもらって適当につつく居酒屋方式。ものすごく混んでいたので食後のグラッパはカウンターに移動して止まり木スタイル。

11月某日
朝、This is Firenzeを見たいというのでミケランジェロ広場に上ります。天気はいまいちでしたが、眼下のテラスでは中国のかたがたの結婚式が4組ほど、なかなか興味深い記念撮影を繰り広げていたので楽しめました。下山して、街中をうろうろした後、朝食がまだだというお客さんとVolpi e l’uvaへ。misto di formaggi e salumi、crostone alla salsiccia al tartufo。白はエミリオおすすめのValle d’AostaのBucaneve、赤はラグレイン。お昼なので軽めのセレクトです。
夜は東京からお越しの別のお客さん、Aモーレ卒業生S木嬢とともにBuca dell’Orafo。気の利くカメリエーレのダヴィデが復帰、初見の気の利かない若いカメリエーラのどうしようもない接客態度をカバーしてくれました。acciughe con burro、crostini toscani、salumi mistiを前菜に、プリモはきのこ入りラグーのペンネ、バッカラのリングイネ、カルチョーフィのキタリーネ、セコンドは仔牛のロンバティーナ、鶏とうさぎのカルチョーフィのフリット。今ひとつ物覚えのよくないサヴェリオの適当なオーダーのせいで、なぜかカルチョーフィのフリットがもう一皿ついてきて、代わりにビエートラを忘れるというおまけ付き。デザートは洋梨のカラメリゼ。「レモン効いてますね。メモしておこう」とS木嬢、メニューも記録用にテイクアウトです。
お客さんと別れ、S木嬢とカフェGigli。アマーロで締めました。mnm

About Manami Ikeda 397 Articles
池田愛美 Manami IKEDA ジャーナリスト、コーディネーター 出版社に女性誌編集者として勤務後、1998年イタリアに渡る。旅と料理の分野でインタビュー、取材、撮影、執筆、講演活動を日本、イタリア両国で行う。主な著書に「シチリア美食の王国へ」「サルデーニャ!」「フィレンツェ美食散歩」「ローマ美食散歩」「アマルフィとカプリ島」「伝説のトラットリア・ガルガのクチーナ・エスプレッサ」「Dolce!イタリアの郷土菓子」「極旨パスタ」「最新版ウイーンの優雅なカフェ&お菓子」など多数。

2 Comments

  1. ようこそウンブリアへ。
    プレートラは友人が住んでいます。
    ここの所天気が悪い。晴れりゃ晴れたで霧は多い。
    しかし、こちらのパネットーネそれほど美味しいとは全く存じませんでした。
    友人を頼りにじっくり偵察してきますね。
    モリーゼは主人の実家に帰る途中なんですが、なかなかじっくり寄る事が出来ません。
    オリーブは10月下旬に既に収穫しましたよ。
    中部とは違うコッテリした味で、贅沢にもバンバン使わせて頂いています。

  2. 今年はオリーブの出来が何処でも良好のようで、嬉しい限りですね。新オイルは命短いのでバンバン使わないと、と自分に言い訳するのもこの時期だけの贅沢です。
    パネットーネは、トスカーナのプラートの話なんです。トスカーナにお越しの際には是非お試しください。そろそろ、作り始めている頃だと思います。

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