ナポリの復活祭菓子Pastiera

カンパーニア州の復活祭のお菓子といえば、パスティエラ。麦を粒のまま牛乳で煮てリコッタと合わせ、タルト生地に流し込んだトルタで、オレンジ・フラワーウォーターが独特の香りを醸します。

伝説によれば、ナポリ湾で美しい歌声を聞かせる妖精セイレンに、人々が感謝の印として七つの宝である、粉、リコッタ、たまご、牛乳で煮た麦、オレンジ・フラワーウォーター、スパイス、砂糖を捧げたところ、その歌声に感動した素材自らが変成し、美味なるお菓子となったとか。

また、その起源はさらにキリスト教以前の宗教儀式に遡ると言われます。豊穣を司る女神がその息子の死を悼むあまり、麦を粉に挽くことも忘れたという逸話から、粉から作るパンをこの時期に食べることを忌避したことに始まる、とも。いずれにしても、このお菓子の名が文章に登場するのは14世紀と古く、当時すでに復活祭のお菓子として定着していたと言われています。

現代では麦の牛乳煮の缶詰が市販されているため、一年中作られるお菓子となっていますが、ナポリ人に言わせればやはりこれは復活祭のお菓子、春を告げる味。手間はかかりますが、一度は作ってみたいお菓子です。

材料
◆フィリング

リコッタ250g 砂糖200g 卵3個 シナモン適宜 オレンジ・フラワーウォーター小さじ1 瓜の砂糖漬け20g シトロンの砂糖漬け20g オレンジピール20g

◆麦の牛乳煮

丸麦200g 牛乳350ml オレンジの皮1個分 無塩バター10g 砂糖とバニラ各適宜

そのほか、タルト生地を用意

作り方

◆麦の牛乳煮

前日に丸麦をオレンジの皮、バター、砂糖、バニラとともに牛乳に加え、弱火にかけ、水分がほとんどないクリーム状になるまで煮る。

◆フィリング

リコッタを裏ごしし、砂糖を加えてよくすり混ぜる。卵黄を一個ずつ加えて混ぜ、麦の牛乳煮、オレンジ・フラワーウォーター、シナモン、種々の砂糖漬けのみじん切りを順に加えて混ぜ、最後に固く泡立てた卵白を加えさっくりと混ぜる。

◆仕上げ

直径26cmのタルト型に用意しておいたタルト生地を敷き、フィリングを流し込み、残ったタルト生地を2cm幅のリボン状にのばして網の目に飾る。170度のオーブンで1時間ほど焼き、竹串を刺して中身がつかなければ出来上がり。型から出さずにそのまま冷ます。一日置いて、食べる時は軽く温め、粉砂糖を好みでふりかける。日持ちは8〜10日間。

ナポリのChalet Ciroのパスティエラは、焼き型付きで販売。食べ終わった後、自分でチャレンジする機会が自動的についてきます。mnm

About Manami Ikeda 397 Articles
池田愛美 Manami IKEDA ジャーナリスト、コーディネーター 出版社に女性誌編集者として勤務後、1998年イタリアに渡る。旅と料理の分野でインタビュー、取材、撮影、執筆、講演活動を日本、イタリア両国で行う。主な著書に「シチリア美食の王国へ」「サルデーニャ!」「フィレンツェ美食散歩」「ローマ美食散歩」「アマルフィとカプリ島」「伝説のトラットリア・ガルガのクチーナ・エスプレッサ」「Dolce!イタリアの郷土菓子」「極旨パスタ」「最新版ウイーンの優雅なカフェ&お菓子」など多数。

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