3つ星シェフ、ニーダーコフラーの集大成 Cook The Mountain

説明

2018年度イタリア・ミシュランで3つ星に昇格した「サント・ウベルトゥス St.Hubertus」のシェフ、ノルベルト・ニーダーコフラー Norberto Niederkoflerは「山の料理」を標榜している。それは彼のレストランがイタリアに現在存在する11軒の３つ星レストランの中でも最高地、標高1537mのドロミティ山中サンカッシアーノにあるからだ。サステイナブル、フォレジングといった料理界における現代的キーワードはまさにニーダーコフラーにこそふさわしいのではないだろうか。イタリアという国は例えばフォレジングが盛んな北欧諸国と比べてみると、食材の豊富さという点では圧倒的に有利に立っている。しかし「サント・ウベルトゥス」があるアルタ・バディア地方は希少言語ラディン語を話す人々が暮らす秘境であり、いわゆるトマトとオリーブオイルという地中海的料理とは一線を画す文化圏にある。地理的ハンデを逆にストロングポイントとする、それは現在世界中で主流となっているフードエクスペリエンスの源泉ではあるけれど言うは易し、行うは難し。しかしそれこそがニーダーコフラーが求める世界なのだろうと想像する。

「クック・ザ・マウンテン＝山を料理する」というニーダーコフラーの哲学は、地元でとれる季節の食材のみを使用し、それまで日が当たらなかった食材や農産物への再評価、あるいは食品廃棄を最小限に抑えることなど、山に暮らすには必要不可欠な行動と選択をガストロノミーレベルへと昇華させるものだ。本書はドロミティの美しい自然とニーダーコフラーの料理、山に暮らす人々のポートレートなどからなる写真集と、80のレシピをおさめたレシピ集という2冊セットになっている。都会の料理に飽きた時、新しいインスピレーションを得たい時、少しづつ眺めているだけで新たな感情が湧き上がってくるのを抑えられなくなるはずだ。ドイツ語版は「2020年度ドイツ料理本アワード金賞」受賞。

判型：イタリア語 オールカラー560P 4.11kg 33.3 x 8.1 x 38 cm ハードカバー 2020年10月12日発売（Suedwest Verlag刊）