シチリア美食の王国へ19 シチリアのオリーブオイル
キアラモンテ・グルフィを含む一帯は伝統的にオリーブの産地でもある。シチリアは各地でオリーブオイルをつくっているが、DOP(Denominazione Origine Protetta原産地呼称保護指定)オリーブオイルは六つ、西のヴァッリ・トラパネージ、東のヴァル・デモーネ、東南部のモンティ・イブレイが、早くからDOPに認定され、追ってモンテ・エトナ、ヴァッレ・デル・ベリチェ、ヴァル・ディ・マザラが加わっている。DOPモンティ・イブレイのオリーブオイル生産地は、シラクーサ、ラグーサ、カターニア県にまたがる。千メートル級のなだらかな山地イブレイの高原で育った100年を軽く超える樹齢のオリーブからつくられるオイルは、豊かで青い風味、微かな辛みとほろ苦さを後味に感じる。
「グルフィ」でPRを担当するマッシモ・ルフィーノは、ワインはもちろんのこと、オリーブオイルや食材、果てはどこにどんな美味しい店があるかといった、シチリア・エノガストロノミーに実に詳しい。その彼の薦めに従って、クリュ・オリーブオイルを製造する非常に優秀な作り手「ピアノグリッロ」を訪ねてみた。ここは何世紀にも渡ってオリーブオイルをつくり続けている老舗で、搾油場のすぐ隣には中世に遡る小さな礼拝堂もあるような歴史ある農園だ。ここでは有機栽培でトンダ・イブレア、モレスカ、ノチェッラーラ・メッシネーゼ、カロレアといった種類を育て、オイルは「ピアノグリッロ」と「パルティチェッラ34」の二種をつくっている。この後者がクリュ・オリーブオイルで、生産数は非常に限られているという。「ピアノグリッロ」はカルチョーフィと青いトマトの香りがし、味はまろやかで微かに辛みと若干の苦味、後にはカルチョーフィとトマトのような風味が残る、とパンフレットに書かれている。実際に味わってみると、トスカーナのオリーブオイルのような芳醇な風味や、プーリア産のようなぴりっとした強い性格でもなく、穏やかで繊細な印象がある。野菜や魚料理に合いそうな、そういう意味ではシチリアらしいオリーブオイルだろう。
<各DOPオリーブオイルの特徴>
-
MONTI IBLEI(モンティ・イブレイ) マイルドなオリーブ果実味、香りよく微かに辛みがある
-
VAL DEMONE(ヴァル・デモーネ) 香りマイルド、味もまろやか
-
VALLI TRAPANESI(ヴァッリ・トラパネーゼ) 強いオリーブ果実味、はっきりとした苦味と辛み
-
MONTE ETNA(モンテ・エトナ) モンティ・イブレイ産とヴァル・デモーネ産の中間的味
-
VALLE DEL BELICE(ヴァッレ・デウ・ベリチェ) フレッシュなオリーブ果実味、特に香り鮮烈
-
VAl DI MAZARA(ヴァル・ディ・マザーラ) 非常にデリケートで、ハーブのような香り
Azienda Agricola Pianogrillo(アジェンダ・アグリーコロ・ピアノグリッロ) Contrada Pianogrillo, Chiaramonte Gulfi (RG) Tel0932-922183 www.pianogrillo.it info@pianogrillo.it 見学・問い合わせ:tel.338-8193102 fax 0438-971207
SAPORITAをもっと見る
購読すると最新の投稿がメールで送信されます。


