シチリア美食の王国へ35 メトロ@カターニア
軽食から郷土料理まで、おともは充実シチリアワイン カターニアの目抜き通りであるエトネア通りの一本裏手にカターニア・バロックの傑作が立ち並ぶ美しい通りがある。サン・ベネデット教会、サン・ジュリアーノ教会、クローチフェリ修道院、いずれも18世紀カターニア・バロックの至宝である。このクローチフェリ通りの突き当たりに「メトロ」というエノテカ・レストランがあり、幅広いシチリアワインのリストとパニーノから郷土料理までとこれまた幅広いメニューを揃えている。コンテンポラリー・アートの展覧会や最近イタリアでも流行りの言葉であるエノガストロノミー、つまりとワインと食にちなんだイベントも行っている。 我々が訪れた時はちょうど旬だったシチリアの赤いオレンジ、タロッコをメニューに多く取り入れていた。これはシチリア東部のみで栽培されるタロッコの名産地であるカターニア南部のレンティーニの「タロッコ祭り」とのジョイントである。デリアという内陸の小さな街に古くから伝わるカーニバルの菓子「クッドゥリレッドゥラ」に注目し、この珍しい揚げ菓子(シナモンとオレンジの香りのする練り生地を王冠のような形にして揚げてある)を食べさせてくれた。アラブ語でブドウ畑を意味するデリアの街では今年からクッドゥリレッドゥラの祭りが行われている。近年シチリアの伝統料理、郷土文化を見直す動きが島のあちこちで行われていて、旅の途中でこうした食の祭りに予期せず出会うのは無上の喜びである。 メニューを開くとこう書いてある。「この島では食べ物とは単なる食事では無く、美食の喜びであると考えられてきました。注意深くて好奇心旺盛な旅人にシチリア料理の認識をより深めていただけるよう、研究の成果であるこのメニューをお届けいたします。」 前菜に「インサラータ・パキネーゼ」をとる。パキーノのポモドリーニ・チリエジーニ、トロペアの紫タマネギ、モッツァレッラ・ディ・ブッファラ。もうひとつは「プロフーモ・ディ・シチリア」。たっぷりのタロッコ・オレンジにオリーヴ、ブロンテのピスタチオのを合わせたサラダであり、地中海の香り、シチリアの味そのものである。セコンドにトルツメはカリっと焼いたまぐろの切り身に甘酸っぱく炒めたタマネギをたっぷり乗せた伝統料理「トンノ・チポッラータ」で素朴でシンプルな家庭の味。「オレンジのゼリー」はタロッコの酸味と甘味を凝縮したこの季節のみのデザートで素晴らしかった。最後に味見ということで例のカーニバルの菓子「クッドゥリレッドゥラ」を味見させてもらい、マルコ・デ・バルトーリのマルサラ「ヴェッキオ・サンペリ」を一杯。ワインと同じく食後酒のセレクトも広く、前菜からプリモ、セコンド、サラダまで幅広い選択と無数の組み合わせが可能な店である。Metro(メトロ) Via Crociferi,76 Catania Tel095-322098 www.ristrantemetro.it info@ristorantemetro.it 土曜昼、日曜休み 予算目安:30ユーロ 美しい通りの一角にあるレストラン、ワイン好き、料理好きが集まる。
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