シチリア美食の王国へ39 パトリア@ソリッキアータ
新しく生まれ変わり始めたエトナのワイナリー エトナ山のワイナリーを一度訪れてみたかった。以前ベナンティの単一品種の赤ワイン「ネレッロ・カプッチョ」を始めて飲んだ時火薬がはじけるような香りに圧倒されたことがある。カメリエーラはこれがエトナ山の溶岩から作られるワインです、とにっこり微笑んだのだった。 エトナ山の北斜面から時計回りに南裾までぐるりと半月型に囲まれた地域がエトナDOCの産地で、中でもランダッツォ、リングアグロッサ、カスティリオーネ・ディ・シチリアは「ワインの街」と呼ばれている。エトナDOCには白、赤、ロゼの三種類あり、白はカリカンテやカタラット、ミネッラ、赤はネレッロ・マスカレーゼとネレッロ・カプッチョで作られる。火山灰が積もるエトナの地のぶどうは古い木が多く、エトナ・ロッソの主要品種ネレッロ・マスカレーゼは樹齢120年を超えてもまだ収穫が続けらていれる。 我々が訪れた「パトリア」はエトナ北部ソリッキアータにある60の生産者が集まった生産者協同組合である。1975年設立で300haの作付け面積を持ち、三種類のエトナDOCなど14種類のワインを生産している。エトナ山とネブロディ産地の谷間に位置し、2002年末の噴火の時は最寄り駅の線路にまで溶岩が押し寄せた。スプマンテ、白、ロゼ、赤と試飲させてもらった後「アレグラクオーレ」という赤を飲ませてもらった。ローマ法王にも献上したこのワインはネレッロ・マスカレーゼとネレッロ・カプッチョで作られ三年間大樽で熟成させた後6ケ月間バリックにかけられる熱くて凝縮された素晴らしいワインだった。しかもトスカーナに比べると値段がいずれも良心的である。 「今古い苗を全部植え変える作業をしていてもうすぐ終わらせる予定。エトナの溶岩を利用してカンティーナは全部地下に移し、ステンレス・タンクも導入する。ここには観光バス用の駐車場を整備して、丘の向こうにはアグリツーリズモも作る予定なんだ」と社長のフランチェスコ氏はいう。素晴らしい要素が幾つもありながら観光のハード、ソフト両面が未だ充実していないシチリアにおいて最近こうしたワイナリーへの投資は目を見張るものがある。ゾニンはじめイタリア北部の有力ワイナリーがシチリアに投資し始めているし、シチリア滞在中に耳にした噂では、トスカーナのある有名なイタリア・トルツメワイン商も数日前にエトナ山に畑を購入したという。以前は名も無きブドウ生産者が作るワインをシチリア外のワイナリーに売る「タリアーレ」つまり「割る」ためのワインというのがシチリアワインの位置付けだったが、エトナ山麓のワインは現在しっかりと一人立ちしつつあるようだ。エトナ山から「スーパー・シチリアン」が生まれてくる環境が徐々に整い始めている。Patria(パトリア) S.S.120 km194,5 Frazione Solicchiata Castiglione di Sicilia(CT) Tel0942-986072 Fax0942-983143 vinipatria@tin.it Grand Hotel Baia Verde(グランド・ホテル・バイア・ヴェルデ) Via Angelo Musco,8/10 Cannizzaro (CT) tel.095-491522 fax 095-494464 www.baiaverde.it 四つ星 S ユーロ〜 D 220ユーロ〜 123室 カターニア近郊のお薦めホテル。街から10分ほどの海辺に面していて落ち着ける Azienda Agricola Perrotta(アジェンダ・アグリコラ・ペロッタ) loc.Perrotta, S.P.Sant’Alfio/Fornazzo, Sant’Alfio (CT) Tel095-968928 火曜休み、夜のみの営業(夏期の週末は昼も営業) 予算目安:20ユーロ エトナ山麓で田舎風料理を食べるなら、とアンティカ・マリーナのサルヴォが勧めてくれた店。
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