Osteria Rubbiara@Modena
バルサミコはそれほど好きではない。個性が強すぎて、どんなものでもバルサミコ一色になってしまうから。それは使いこなせていないからだろうけど、負け惜しみを承知で言わせてもらえば、使いこなすのが難しい調味料ということでもあると思う。 でも、これなら毎日でもいいかも、と思うバルサミコの使い方に出会った。モデナの郊外のアチェタイアが営むオステリアで食べた、アチェート・バルサミコ・トラディツィオナーレ・ディ・モデナ(長いので以下ABTM)を垂らしたフリッタータだ。 たっぷりの油で揚げ焼きしたフリッタータは、にんにくやローズマリーなどを細かく刻んで混ぜ合わせた塩とソフリットしたタマネギだけのシンプル仕立てで、熱いうちに、とろりと濃密なABTMをぽたりぽたりと落とす。熱でバルサミコのカラメル香がふわ〜っと立ち上って、あぁこれは揚げ玉子のソースがけだなぁとうっとり。 このときにかけるバルサミコは、充分に熟成させたものでないといけない。ABTMであれば、少なくとも25年は熟成させたものが含まれているので、そのくらいであればOK。 このABTM、煮詰めた葡萄の絞り汁を樽で熟成させるわけだが、熟成年数が明記されていないのは、毎年、より小さな樽へと移し替える時に寝かせている間に減った分を継ぎ足すから。あのフラスコ型の瓶の中身は純粋な25歳とは言えないのである。 ところでこのアチェタイア、ワインも白赤(赤はランブルスコ)造っているのだが、どちらもかなり酸味が強い。そして同時にどこか甘い。オーナー親子は二人とも試飲のプロ、マエストロ・アッサッジャトーレなのだが、彼らの舌はどうやらバルサミコモードになっているらしい。mnm

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