Zeffirino@Genova
冬季五輪女子フィギュアのSPとFPの合間を縫って、ジェノヴァきっての老舗ゼッフィリーノへ。ここで何を食べるか、言わずと知れたペスト・ジェノヴェーゼのパスタである。先の法王様にも献上し、その御礼の手紙が壁に恭しく掲げられているというほどのペストを、シェフご存命のうちに味わっておかないとね、というわけである。 しかし、御年67というシェフ、ジャンパオロ・ベッローニ氏はかくしゃくとして全然元気。我々が食べ終わると一緒に座って、しゃべるしゃべる。歴史、料理観、そして、日本での思い出などなど...。あまりにたくさんの話を拝聴したのに、脳内メモリかつかつの私の頭からは、右から左へ通り抜けて行くことおびただしく、実にもったいないことである。 ようやく脳内アーカイブにしまい込めたのは、ペストを作るには、バジルの香りは強すぎても弱すぎてもいけないこと、そのバジルに合わせるオリーブオイルもほどほどであること(トスカーナのオイルは風味が強すぎてNG)、それから、伝統をベースに置かずして料理すべきでないこと、その伝統はけしてむやみやたらと自己流で踏み荒らしてはならないこと、もし、伝統料理を自己流でイノヴェーションするなら、その伝統の名を冠してはならないこと、そういう料理には自分でファンタジックな名前をつけること...。 ペスト・ジェノヴェーゼはどんな素材とでも相性がいいが、生の魚だけは、デリケートな風味を覆い隠してしまうので避けた方がいい、とも。食べて思ったけれど、やっぱりパスタが一番、それも、うす〜く滑らかなフレッシュパスタが本当によく合う。ゼッフィリーノのペストは、バジルの香りが爽やかに立ち上り、チーズ、にんにく、松の実、オリーブオイルが誰もことさらに主張することなく、全員仲良くバジルを支えている。強すぎず、けして弱すぎず、しかし、繊細さを感じさせるこんなペストを他に知らない。mnmSAPORITAをもっと見る
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