Sostanza@Firenze
創業1869年、フィレンツェを代表する老舗中の老舗。その昔私がフィレンツェに移り住んだ翌日、記念すべき●才の誕生日を祝ったのはこの店だった。人に歴史あり。以来リラからユーロに変わって値段もほぼ倍、というあこぎなスタイルを守りつつも伝統の力強さは相変わらず。店員は代替わりしてもグレーの工員風制服も同じならインテリア(というか、単に内装)、厨房、メニューも変わらない。ロンバティーナ、つまり子牛のTボーン炭火焼。極限のシンプル。なにせコントルノを頼まなければイタパセ一筋ついてこない。ボッリート。サルサ・ヴェルデは別盛りで来るものの同じく装飾皆無。ミニトマトとかイタパセとか、二十日大根とかそういう本質に全く関係ないあしらいをする店が滑稽に思えてくるほどシンプルのシンプル。ちなみに店名は「本質」という意味である。 その極限にまで装飾を削り落としたミニマリズマなクチーナ・フィオレンティーナは豪華一品主義。一皿にひとつの食材のみ、量が質に転換する、こうしたキーワードに心ひかれれば「本質」も見えてくるはず。まさにイタリアの本質である。城山三郎の作品に「粗にして野だが卑ではない」という伝記があるが、そのタイトルを地でいく。大体店名に「本質」という言葉を選ぶ気概のある店主はもはや文学者であり哲学者である。ニーチェがレストランを開いていたらこう名付けていたかもしれない。Se avesse…という仮定の話。継続は力なり。MASASAPORITAをもっと見る
購読すると最新の投稿がメールで送信されます。
MASA様 いつも、愉しく、懐かしく、そしていつも心の底から感心しながら拝見しています、ありがとうございます。今日は懐かしいsostanzaの記事が掲載されていましたのでコメントさせていただいています。私は'97から3年と少しFirenze、Via Faenzaに住んでいました。仕事をしながらの一人暮らしの中、行き当たりばったりで知った食堂の一つがsostanzaでした。記事を拝見して、sostanzaはいつもsostanzaなんだと感心しきりです。エウロに変わって随分値上がりしたのですね。当時から決して安いほうではありませんでしたが、倍になったとは驚きです。私はあそこのフィレステーキのファンでした。あの厚い肉の火の通り方・・肉の味そのものと合わせて忘れられません。
いつも切れ味のいい、決してなびかないレポートに敬服しています。
シチリアの記事も沢山紹介記事がありますね。僭越ですがTRATTORIA 「DA PINO」をご紹介します。Via Spezio,6,PALERMO
Hotel PRESIDENTOの近くです。’99の話で申し訳ないのですが驚きの店でした。昼時の人の出入りを除けば、およそ食堂に見えない外観でした、イタリアにしては珍しいアルミのドアだった記憶があります。中は地元の人で溢れていました。primo,L4000、secondo L7000、pane coperto L1000、vino(M)L2000と当時でも格安で、とにかく旨い昼飯でした。フィレツェからの旅行だったせいもあってとにかく驚きでした。平日は昼のみ、夜の営業は土曜のみ、会計は出口で自己申告でした。パレルモにお寄りの際は如何でしょうか?長文失礼しました。お二人の益々のご活躍を心から願ってやみません。
mioさま。コメントどうもありがとうございました。パレルモのVia Spezioはボルゴ・ヴェッキオ地区に続く道ですね。夜はちょっと・・・というワイルドなエリアなので冒険好きの方でも昼間に行くようにしましょう。Sostanzaは代替わりしてなんだか愛想がよくなりました。MASA