Madonnina del Pescatore@Senigallia(AN)
2週間に渡る自宅引き蘢り原稿生活に別れを告げ、原稿はまだ終わっていなんだけどアドリア海のセニガッリアへ。マドンニーナ・デル・ペスカトーレはミシュラン1つ星にしてガンベロ・ロッソ3つフォーク、鬼才モレーノ・チェドローネの店である。 モレーノ・チェドローネについて書くと長くなるので省略するけど、フェラン・アドリアのところで学んだり、フランス料理のコースを受けたりしてピッツェリア・トラットリアから転身、★を受けた努力と才能の男、42才。魚料理に関するクリエイティヴィティではアドリア海屈指の料理人。スペインはサン・セバスチャンの3つ星「マルティン・ベラサテギ」を思い出す。 アミューズは「アメリカーノ・ソリド」つまり固形のカクテル。それとアンチョビを使ったスプーン・フードが3品。ブリオッシュ、スプーマ・ディ・パルミジャーノなど。パルミジャーノとの組み合わせが衝撃的。前菜は「SUSCI&SUSHI」つまりモレーノ風の寿司で生の魚介類が8品出てくる。ホタテのライムソース、ピゼッリの冷製スープ+ウニ、アドリア海のクロマグロなどなど。もうひとつは「8 Cucchiai」これも生魚中心のスプーン・フード。 箸休めに一口サイズのアサリの冷製リゾットとブリのスモーク、次いでプリモ。シャコとカルチョーフィのタリアテッレとカラマリのパッケリ。セコンド、自家製バッカラのラグー・ビアンコ・ヨーグルトソース。新鮮な鱈料理の素晴らしさはバスクで食べた鱈のカマ焼きを思い出させる。ドルチェはマルケのカルネヴァーレ菓子カスタニョーレ+クレマ・パスティッチェラ。言い忘れたけどワインはBellavistaの1/2と地元Umani RonchiのVerdicchio di Castelli di Jesi “Plenio ris.02″。ガンベロロッソの2006トレビキ白ワイン。 ひとつひとつ書くとこれまた長くなるのではしょるけど、非常に充実した3時間。日本人のDNAに訴えかけてくる官能的な店。南(まだ中部か?)イタリアの魚介文化の素晴らしさを鬼才のフィルターを通じて体験することができる。最も強く感じたのは、派手で味も強く出る代表的な甲殻類をモレーノはほとんど使っていないこと。スカンピ、ガンベリ、ガンベローニ、アスティチェ、アラゴスタ。こうした味の濃い素材を使わず、日本風にいうなら白身の魚を中心に、平易なレモンなど使わずにいかに素材の味をいかしつつ風味を増幅させるか、そこがモレーノの真骨頂である。魚+チーズ、魚+肉というイタリア料理の禁忌を破って高い次元に到達する冒険心。カルロ・クラッコ、ダヴィデ・スカヴィンと並ぶ次世代の巨匠であり、現在一歩リードのマッシミリアーノ・アライモ、ハインツ・ベックに続いて★★★を獲得するのはいつ? ちなみに料理の写真は無し。店へのリスペクトとしてクリエティヴ系、★系の店でのデジは控えましょう。写真を見たい方はこちらへ。Madonnina del Pescatore  MASA

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