イタリア三大問題企業、新たなる後退か?!イタリア郵便
4ヶ月前に、「時代にマッチし始めているイタリア郵便」と書いたのに、それは早計な判断であったと、ここにお詫びして訂正いたします。 イタリアに住む多くの日本人が、日本の家族からさまざまな“援助物資”を送ってもらっている。中身は食料が中心で、そのほかに本、日用雑貨、衣類、人によっては子供のおもちゃや離乳食もある。日本からそれらを送るのに使われるのは専ら日本郵政公社が提供するEMS便、SAL便、そして船便。後になるにつれ、時間はかかり、料金は安くなる。EMS便であれば早くて三日、かかっても一週間で届くのが普通。いや、普通だった。昨年末頃より、EMS便の到着がことごとく遅れているのだ。一ヶ月かかるのはざらで、ある人は12月のクリスマスプレゼントをいまだに待っているのだという。 この延着は、送った側からの確認連絡で発覚する。日本の郵便局のHPで追跡調査をすると「ローマの税関で通関待ち」という表示が出る。電話で問い合わせても「通関待ちなら仕方ありませんね」と言われるだけ。そこで、受け取り側はPoste Italiane社の無料電話サービスnumero verdeへ問い合わせる。するとこれまた、「通関待ちですね」と言うのだが、それがいつまでかかるのかは「わかりません」、ひたすら待つしかないのだという。とりあえず、荷物の中身を説明したfaxを税関へ送るように指示されるが、そのfaxに対して何らかのレスポンスは、ない。 あまりにも遅いと業を煮やして電話をするうちに、「では、クレームを出しましょう。送り主、中身など細かいデータをください」と言われる。このクレームはどこに行くのか? 最初は税関へ送られるのかと思っていたのだが、実はPoste Italiane社に向けられる。なんといっても電話を受け付けた相手が「最近、同様のクレームが多くて困っているとPoste Italiane社に言ったばかりなんです」と言うほどだから。こうした電話サービスは委託業務であり、つまり、電話口で相手に怒りをぶつけたとしても無駄なのである。 税関のHPから広報宛に問い合わせのメールを送ったところ、「我々は荷物の中身を検査するのが任務であり、その荷物の配達については関知するところではなく、責任はPoste Italiane社にあります。以下の電話サービスへお問い合わせください」と件のnumero verdeを紹介された。責任の押し付け合いからなる完全な堂々巡り。イタリアン・ラビリンスにはまってしまったのである。 「イタリアに送れないものリストがあるならば、それを教えてくれれば最初から送らせなかった」と言えば、電話窓口からは「それは日本の郵便局が把握している。イタリアから日本へ送れないものリストしか、我々の手元にはない」と言われる。日本の郵便局にも責任があるのだ、というわけだ。確かに、高額料金をとっておきながら、税関のせいですから、と取りつく島を与えない日本側の態度も解せない。 しかし、この窮状、いったい誰に訴えたらいいものやら。とりあえず同様の被害に遭っている人々で連盟し、抗議文書をPoste Italiane社、税関、消費者連合などに送付する手はずをとっている段階である。それにしても、日本からの国際便の選択肢が少ないのも問題だとつくづく思う。アメリカのように民間クーリエ企業による国際便の熾烈な戦いのない日本では、郵便局の一人勝ちなのだから。mnm e-giornale2006年4月1日号よりSAPORITAをもっと見る
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