B取材ロケハンメモ Omero, Armando, Cammillo, Buca dell’Orafo etc…
17日から十日間近く続いたS英社B誌の取材もなんとか終焉を迎えた。今回はレストラン、ショップ取材の事前仕込みはほとんど行わず、編集女史と試食やロケハンをした上での取材申し込み、つまり食べてよければそこでGO!の手段をとった。いつもこういうことができると、日本からの取材者も納得しての取材となるし、読者にとっても情報の信憑性が少しは高まるというもの。でも、実際にこういう方法はほとんどとられない。取材経費が厳しくて、ロケハン滞在費用まで賄えないのが普通だからだ。 月曜日。昼は高台の店Omeroへ行った。モデル入りの撮影をするなら自然光が入る方がいいというカメラマン氏の希望であったし、まず、間違いのない料理を出すことで編集者も納得。幸先のよいスタート。夜は創業1989年のリストランテPane e Vinoへ。Via San Niccolo’にあったのが、一昨年秋にPiazza Cestelloに移転。店内には不思議な段差。もとはトラックの荷下ろし場所で、そのための段差だったのだが、視覚的にも面白いからと残したのだという。上方に厨房の様子が映し出されるテレビがあるのも面白い。料理は一段とパワーアップ、質問すると一皿一皿、随分考えて凝って作っていることがわかる。見た目はそれほど難しくはないんだけれど。最後に着色料・保存料の使われていないご自慢のアマーロ、さらにリモンチェッロをオーダーしたらそれはないので代わりにとMaroloのカモミール風味グラッパを出してきた。 火曜日。昼はArmandoでspaghetti alla carrettiera。今回のテーマは「昼パスタ、夜のこじゃれディナー」。私が食べたのはspaghetti con acciughe fresche e finocchio、新鮮なイワシとフェンネルの香りは好相性。夜はモデルチームの送迎があるため、ホテル近くのピッツェリアDantescaでさっくりと。ここは駅近くで24時過ぎでもOKなありがたい切り札の一つ。 水曜日。ホテル・コンティネンターレで撮影の後、同系列で隣のギャラリー・ホテル・アートの一階Fusion Barでブッフェランチ。不思議なオリエンタル総菜のオンパレード。お箸で食べるのが好評。夜はBuca dell’Orafoへ。店内は非常に同胞率高く、9割は我々と同じ言語。いつものように大声で噂話などしてはいけない。さらに、日本へ帰国してしまった元フィレンツェ在住のN本カメラマン氏が編集者と来店。ますます噂話などできない。が、モデルチームはどこへ行っても賑やかである。今夜のBuca、やや塩味がきつい。最近、塩味が徐々にきつくなっているという噂は本当であった。暑いからね。私もポルチーニのフリッタータは半分残してしまう。 木曜日。前夜のBucaが「塩っぱい」という理由でNGに。B誌は若い女性対象であり、まだ味覚の出来上がってないデリケートな彼女たちには理解しにくいであろうという編集女史の親心である。というわけで、その代わりを見極めにCammilloへ。いつものように早いサービス、しかも、塩味もほどほどという評判を得て、即取材交渉。撮影するのは、spaghetti alla bottarga di muggine con burroとtortellini al curry。あの”カレーライスの謎”の流れを組む一皿は、カレーライスと全く同じソース(肉・エビ抜き)で茹で上げた仔牛肉詰めトルテッリーニにかかっている。珍味である。夜は遅くなってしまったのでホテル近くで見かけた新しい店、Cipolla Rossaとかいう居酒屋風トラットリアへ。店員全てやたら声大きく、モデルの子に入れ替わり立ち替わり話しかけてきて落ち着かない。でも、激安なので、我慢する。 金曜日。昼はOmeroでモデル撮影。夜はこれまた遅くなったので、ホテル近くのTrattoria Antellesiへ。すごく久しぶり。経営が変わったのか、なんとなくメニューが違う気もするけれど、気のせいかもしれない。こっちも8人の団体だが、同じ部屋に10人規模のグループがあと二つ。どちらもUSAテキサスあたりの牧場主ファミリー風大柄大声集団であった。しかも躾がなってなくて椅子にまともに腰掛けているのは我々ジャパンだけ。それはともかく、料理はごくまっとうなトスカーナ・トラットリア料理で、しかも、サービスも素早く、女将っぽいおばさんが時々ちゃんと「すべてOK?」と聞きにくる。私が頂戴したトリッパ・アッラ・フィオレンティーナの白インゲン豆入りは、するすると意外や(失礼)美味しく食べられた。 土曜日。昼はArmandoで撮影。モデルカットはなかったのだが、みんなも食べたいと合流し、都合7人で会食。撮影したpici al ragu con funghi porciniはしっかりしたラグーで大変美味。見た目が茶色で、なんとなく「なすとひき肉の中華風炒め」だけれど。お勘定はいらないとアレッサンドラ。「えぇ?!」と申し訳なさそうな顔をしてもしっかり財布をしまう編集女史。こういうありがたい申し出は慎んで受ける。夜はFilipepeでまず撮影。モデルチーム最後の晩ということで、そのまま打ち上げモードに突入。しばらくするとOmeroのソムリエがお客で入店。「僕にも楽しむ権利はあるんだよ」と言い放つ。この頬に傷のあるソムリエ、実は編集女史が「イイ男」だと目をハートにしていたものだから、座はさらに盛り上がって完全居酒屋状態。みんな、何食べたか覚えているのかな。私はマグロのタルタルと...まずい、私も記憶が飛んでいる模様。暑かったからね。 その他取材は、Borgo San Jacopoでモデルカット、内臓屋のIl Magazzino、Cenacolo del Pescatore、市場傍のDa Sergio Gozzi、Pane e Vinoと続き、最後はボローニャのIl Caminetto d’Oroで終了。ここはその日のお昼が休業前の最後の営業ということで、さらに終了感を増してくれた。編集女史は「本場のラグーボロニエーゼを食べたい」という野望を遂げ、次の目的地ヴェネツィアへと旅立っていった。久しぶりのファッションロケ、団体でのご飯ロケハン、夏休み前の一仕事は結構な大仕事であった。mnm

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