Fuord’acqua@Firenze
今年85周年を迎えるイタリアを代表するブランドGのファッションディレクターがお薦めするフィレンツェスポット12という、頭使わず手足動かせ取材が夏休み前のミッション。12 のうち、レストランは2軒で、1軒がGARGA、そしてもう一軒がさんざっぱら噂は耳にしていながら行く機会には恵まれなかった魚専門店Fuord’acquaであった。 撮影ミッションは「内外観と料理一品」。その顛末は、行ったことのないレストランに”おまかせ”で料理を出してもらうととんでもなくすごいことになる可能性があるということを思い知らされる結果となった。 夜のみの営業のここへ、開店15分前に約束通り到着すると、何がしたいのかと単刀直入に聞かれ、件のミッションを伝えると「では先に内観を、それから料理を」とてきぱきと仕切られる。あ〜仕切られてるな〜と実感しながら、それに乗っかることにする. 内装はイタリアではごく一般的なクラシック感を演出するレンガむき出しの天井はいいけれど、テーブルクロスが織り込みバラ模様という一般的に”とりあえず白無地じゃなきゃいいか”的廉価ものというのがいただけない。それでも、テーブルの脚のがたつきを一つ一つチェックして直しているのは、ごく一般のフィレンツェレストランのなかでは稀なこと。 ところが、撮影用に出てきた皿を見てびっくり。ゆでたオマール、スカンピ、ガンベローニがそのままどーんと盛られているのはまだしも、その下に敷かれたレタス、ネギ、セロリがしなしなで、ラディッシュにいたってはその葉が腐っている。これって料理とは言えないんじゃない?と呆然。 なんとか平静を取り戻して撮影を終えて着席。温かいフォカッチャは長時間発酵特有の微かな酸味が心地よく食前酒のスプマンテも特徴的な蜂蜜香で気分が和らぐ。聞けばメニューはないので、とりあえず、魚介の生と温製両方の前菜と、プリモを一品オーダーして様子を見ることに。先だってGARGAのコック、エリオ氏に「魚介の鮮度はいいとしても値段が高すぎる」と言われていたのと、セコンドは先ほどの茹でエビ盛り合わせ(傷んだ野菜添え)だからだ。 スカンピ、マグロなどの生、さっと茹でたイカとルーコラのサラダ仕立て、茹でたエビと白インゲン豆、舌平目の野菜のピュレ添え、マグロのソテー甘酢トロペア玉ねぎの前菜の後、刻んだアサリのスパゲティを食べる。全体的に量は多めで、味付けは弱め。アサリは砂をがっちりキープしていたのがキツかった。ワインはフリウリのVespa2002、26ユーロ。しっかりフルーティな香り、口中ではいたってドライで魚介にはまずまずの相性。 帰りがけに入り口近くに掲げられている”メニューのおおよその目安”を拝見。プリモは13〜20ユーロ(アサリのスパは16ユーロ)、セコンドは基本的に100g単位でスズキやオラータは5ユーロ/100g、スカンピのグリルが8ユーロ/100g、そして茹でエビ盛り合わせは10ユーロ/100gであった。撮影した料理は持った感じかる〜く3キロはあったので、300ユーロくらい?あの一皿で6人前だそうだから一人50ユーロ。マルケージの冷製キャビア・スパとどっちがいいと聞かれても困る値段?mnm

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